神戸製鋼所が、独自開発した次世代製鉄技術「ITmk3(アイティ・マークスリー)」による
新型製鉄炉をカザフスタンに建設する方向で現地企業と最終調整に入ったことが4日、分かった。
次世代技術は、低品位の鉄鉱石と石炭から鉄鋼の母材となる高純度の鉄の塊を生産できるのが特長。
新興国の経済成長や資源メジャーの寡占化で優良鉄鋼原料の争奪戦が今後激化するのは確実なだけに、
神鋼は新型では第2号商業炉となるカザフのプロジェクトを弾みに、次世代技術の世界的な普及に
つなげたい考えだ。
◆技術使用料を取得
新型炉はカザフの総合資源会社SBSグループが計画している製鉄所の上工程に導入される方向で、
交渉は年内にもまとまる見通しだ。神鋼が新型炉の設計を手掛け、技術のロイヤルティー(使用料)を
取得する。
カザフでは石炭のほか、通常だと廃棄される低品位の鉄鉱石が多く採掘され、
同国政府もこれらの資源の有効活用に向け新型炉の建設を後押ししている。
一方、第1号商業炉は米電炉大手のスチール・ダイナミックス(SDI)が総工費約260億円を
投じて米ミネソタ州に建設中で、今月にも完成する予定。来春をめどに量産化に入り、近隣鉱山で
とれる鉄鉱石を原料に年50万トンを生産する。
新型炉の建設に向け、神鋼は米鉱山会社クリフス・ナチュラル・リソーシズとも合弁会社を立ち上げ、
事業化調査を進めているが、昨年の金融危機の余波で資金調達のめどが立っていない。
このほかインド、ウクライナ、ベトナムの鉱山会社などが関心を示しているという。
従来の高炉方式では高品位の鉄鉱石や石炭を使って製鉄炉1基当たり年数百万トンの鉄鋼母材を生産。
これに対し、ITmk3は1基当たり年50万トンに過ぎないが、生産時間は高炉方式の8時間に比べ
約50分の1の10分。巨大設備が不要なため建設コストが大幅に抑えられ、
二酸化炭素(CO2)排出量も高炉より約2割減る利点がある。
◆優良品に調達不安
優良鉄鋼原料の需要は昨年秋以降の世界同時不況の影響で落ち込んだが、最近は中国などアジアで
急速に回復しつつあり、資源メジャーも英豪系リオ・ティントとBHPビリトンがオーストラリア国内の
鉄鉱石事業の統合を打ち出すなど寡占化を一段と進める動きに出ている。
優良原料の埋蔵量は限られており、資源メジャーの価格支配力が強まれば、安定調達に“黄信号”が
ともる。低品位の原料を活用できるITmk3は世界市場で飛躍する武器になる可能性を秘めており、
神鋼の佐藤広士社長は「製鉄炉の受注・建設と、ロイヤルティービジネス、自ら海外に製鉄炉を
建設して生産・販売するビジネスの3分野を新たな収益の柱に育てたい」としている。
ソースは
http://www.business-i.jp/news/sou-page/news/200911050018a.nwc “神戸製鋼の次世代型製鉄技術「 ITmk3」の特徴”という表は
http://www.business-i.jp/news/sou-page/news/200911050018a2.jpg 神戸製鋼所
http://www.kobelco.co.jp/ 会社情報・株価
http://company.nikkei.co.jp/index.cfm?nik_code=0000806