各国で女性の地位向上に伴い女性の経済力が増しているにもかかわらず、
企業の対応は不十分なままであり、このままではチャンスを見過ごしてしまう
可能性があるとする報告書を、米コンサルティング企業がまとめた。
世界銀行の推計によると、世界の女性の所得合計は2014年までに18兆ドル
(1700兆円)となり、現在と比べて5兆ドルの増加が予想される。これは中国と
インドの同年の国内総生産(GDP)予想を合わせた額の2倍以上だという。
しかし米コンサルティング企業のBCGが各国で実施した調査では、企業の女性向け
商品やサービスに不満を持ったり、企業に無視されていると感じる女性が多いことが
分かったという。
特に金融機関に対する不満が強く、世界40カ国・地域で女性1万2000人を対象に
した調査では、銀行、証券、保険といった金融機関の女性客への対応が最も不評だった。
BCGのパートナーで企業の女性対応に関する著書もあるマイケル・シルバースタイン氏
は「企業が現在やっているのは、男性向け商品をピンクに塗ることにすぎない」と批判
する。
女性は現在、世界の年間消費支出のうち20兆ドル(約1800兆円)を握っており、
2014年までには28兆ドル(約2600兆円)に増える見通し。しかしこのまま
では企業は購買力の拡大が最も見込める層にそっぽを向かれてしまう恐れがあると、
シルバースタイン氏は危惧する。
中国のような新興国では地方の工場などで働く若い女性の購買力が増しており、
今年1―9月の国内消費が15%上昇したのも、主に35歳未満の女性が原動力に
なっているという。
女性の職場進出も進んでおり、米国の労働力に関する最新報告書では、働く女性の数が
初めて男性と実質的に同数となり、年内には男性を上回る見通しとなった。しかし女性
の平均収入は男性の77%にとどまっており、女性経営者はごくわずか。米大手400社
のうち、女性経営者がいるのは38社程度にすぎないという。
◎ソース
http://www.cnn.co.jp/business/CNN200910270011.html