高知市の女性は全国の女性に比べ、化粧クリームやファンデーションなど、
美白に欠かせない化粧品にお金をかけている――。
総務省が毎年実施している家計調査で、高知の女性のこんな特徴が分かった。
南国土佐の強い日差しが関係するのかどうか。その理由を探った。
08年の家計調査によると、全国51都市(47都道府県庁所在地と、北九州市や
川崎市など主要4都市)のうち、高知市の一世帯あたりの化粧品購入額は化粧クリーム
が1位、ファンデーションが2位、化粧水と乳液がそれぞれ5位だった。
過去10年間でも、高知市はいずれかの品目で毎年5位以内に入っている。02年は
ファンデーションなど3品で1位、04年は化粧クリームなど3品で1位と、トップを
占める年も多い。
高知市内で化粧品を販売する人たちは、どう感じているのか。
同市帯屋町1丁目の高知大丸で、化粧品とアクセサリーフロアのマネジャーを務める
大井久児さん(53)は「高知は他県と比べても化粧品の売り上げが高い」と話す。
全国の大丸各店で、全体の売り上げに対する化粧品の割合は約4〜5%。これに対し、
高知は約8%にのぼるという。
フロアに17ある化粧品ブランドのうち、売り上げ1位を誇る高級メーカー「エスティ
ローダー」では、売り上げの約20%が美白関連の商品だ。店で一番の売れ筋商品は
1本5500円の日焼け止め。今年3〜8月で計706本、1日に平均4本近く売れた。
その背景について販売員の井上綾乃さん(35)は「四国の他県から引っ越してきた
という方でも、高知の日差しの強さに驚かれる」と説明する。
国内大手「資生堂」の販売員を約30年間務め、徳島県や香川県での勤務経験もある
西森園恵さん(51)は、こんな見方をした。「他県と比べ、明るめのファンデー
ションを選ぶ方が多い。白い肌にあこがれる気持ちが強いのでしょう」。売れ筋の
1万5千円の美白美容液は、今年4〜8月で月に平均28本売れた。
なぜ美白関連の化粧品が好まれるのか。高知市本町3丁目の化粧品店「いけちや」を
経営する武市美子さん(64)は「日差し」と「高温」を理由に挙げる。
「昔は、ビニールハウスで野菜を作る女性が、収穫期の後、化粧品をまとめて買う
ことが多かった。暑くて紫外線が強いハウスの仕事は、肌に負担がかかるからです」
しかし、高知以外でも暑くて日差しの強い地方はもっとあるはず。天候以外に理由は
あるのだろうか。
武市さんは「高知は働く女性が多い。職場に化粧せずに行くわけにいかないから、
購入額が多くなる。外に出るから日焼け対策もしっかりするのでしょう」と分析する。
05年の国勢調査によると、県内の働く人のうち、女性は約49%を占め、全国平均
より5ポイント近く高かった。外に出る機会が多いことも理由のようだ。
秋が深まってきたこのごろは紫外線対策はもう必要ないのだろうか。「紫外線が弱く
なるこの季節こそ、お手入れの効果が出ます。冬でも日焼け止めを使われる方は多いん
です」。同店の販売員、岩目愛さん(30)が助言してくれた。取材で外に出ることの
多い記者も気を付けなくては。
◎ソース
http://mytown.asahi.com/kochi/news.php?k_id=40000000910200003