名古屋港水族館(名古屋市港区)が大学の研究機関と相次いで調査・研究のための
連携協定を結んでいる。6〜7月には岐阜大学応用生物科学部、京都大学霊長類研究所
とそれぞれ学術交流協定、今月9日には京都大学野生動物研究センターとも同様の協定
を結んだ。同水族館の祖一誠館長は「調査・研究も水族館の役割の柱の一つ。連携効果
を期待している」と話している。
同水族館は従来、個別のテーマについて各地の大学と共同研究などをしてきた。
このうち特に交流が深かった大学と協定を結び、より幅広い調査・研究をすると
ともに、大学側の知識を日常の展示などにも生かす狙いがある。同水族館によると、
水族館が大学とこうした協定を結ぶのは珍しいという。
京大霊長類研究所からは教授や学生が月1回程度、同水族館を訪問。同研究所は、
チンパンジーに○▽□×の形を認識させるなどの比較・認識実験で実績があり、これを
イルカに応用するなどの取り組みを始めている。また岐阜大学応用生物科学部には獣医
学課程があり、協定効果で水族館側が病気にかかった飼育動物の症状などを気軽に
相談できるようになったという。
9日に協定を結んだ伊谷原一・京都大学野生動物研究センター長は「我々は動物の
野生の情報を持っている。知識を水族館の展示などにも生かせると思う」、同水族館の
祖一館長は「飼育動物は間近で観察できるので、学生の教育の場にもいいと思う」と
互いのメリットを語った。
同水族館と京都大学などは、10年10月に名古屋市で開かれる生物多様性条約
第10回締約国会議(COP10)に合わせ、共同イベントを開くなどの取り組みも
進める方針だという。【飯田和樹】
ソース:毎日新聞
http://mainichi.jp/life/today/news/20091017k0000e040061000c.html