★鉱工業生産4か月連続上昇 中部経産局
◇政策下支え奏功 車と鉄 回復鮮明
◇自律回復なお見えず
中部経済産業局は9日、管内の景況判断を4か月連続で据え置いた。輸出が先導して生産が持ち直す
傾向が続いているためだが、自律的な景気回復への道筋は依然として見えていない。
(小野田潤)
管内(東海3県と石川、富山県)の総合経済動向の総括判断で、中部経産局は「低迷しているものの、
生産面に持ち直しの動きが見られる」との表現を踏襲した。
7月の管内鉱工業生産指数(速報値、2005年=100)は前月比3・1%増の80・1と4か月連続で上昇。
米国、中国向け自動車輸出の伸びで、「輸送機械」が4・3%増と好調で、鋼材受注の増加などにより
「鉄鋼業」が10・3%増となるなど自動車産業の回復が他産業にも波及している。
8日発表された内閣府の景気ウオッチャー調査(8月)でも、東海経済は「最悪期を脱した」(紙・パルプ)との声が
多く聞かれた。
ただ、足元の好況が持続するかどうかは予断を許さない。
9日記者会見した宮川正・中部経産局長は、新車販売の回復は、日米欧など各国政府の支援策によるものと
認めた上で、「来春以降に『カンフル剤』が切れた後の景気動向は予測できない」と警戒する。設備投資にも
本格再開の兆しは見えず、工作機械業界では「どん底の状態をいつ抜け出すことができるか見えない」
(ヤマザキマザック子会社)。
輸出も中国への依存度が高まっており、「1本足打法」(宮川局長)のリスクも懸念され始めた。
企業部門の回復が、家計にどれだけ波及するかも不透明だ。管内の有効求人倍率(7月)は0・45倍と
過去最低だ。トヨタ自動車が期間従業員の採用再開を決めるなど、雇用には好転の兆しも見られるが、
中部経産局は「地域全体に拡大する動きにはならない」(宮川局長)と慎重な見方を崩していない。
個人消費も回復の足取りは重い。好調な新車販売も「売れ筋は小型車中心で収益は目立って好転していない」
(自動車ディーラー)。流通業界も「新型インフルエンザの流行が客足を鈍らせかねない」と懸念する。東海経済が
いつ自律的な回復局面に入るか、「見通しは立っていない」(宮川局長)のが現状だ。
ソース:読売新聞(2009年9月10日)
http://chubu.yomiuri.co.jp/news_k/ckei090910_1.htm 東海経済の見通しについて述べる宮川正・中部経済産業局長
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