ブリュッセル(ダウ・ジョーンズ)世界貿易機関(WTO)は4日、欧州連合加盟国がエアバスA380の
開発に対して供与していた支援は協定違反と結論したもようだ。
WTOは非公表の中間報告に「エアバスA380開発計画に対して供与されている欧州連合加盟国からの
政府融資は不当な輸出補助金である」との裁定を記した。事情に詳しい2人が明らかにした。
この裁定によって米国政府と米ボーイング(NYSE:BA)は将来エアバスに報復制裁を加える材料を
得たことになる。エアバスは欧州航空・防衛大手EADS(EADS.FR)の傘下にある。
米政府は2004年、欧州連合(EU)加盟国政府がエアバスに200億ドルにのぼる違法な補助金を
供与して、新型機の開発を不法に支援しているとして、米ボーイング(NYSE:BA)に代わりEUを
WTOに提訴した。支援は「ローンチ・エイド」と称される融資を通じて行われているとした。
これに対しEUは直ちに、米政府はボーイングに不正な補助金を供与しているとして米国を逆提訴した。
EUの逆提訴についてのWTOの裁定も数カ月以内に示される予定だ。
米当局者は今回の裁定について、過去14年間のWTOの歴史の中でも最大の事件における偉大な
勝利であると話しているという。事情筋が明らかにした。
これにEU当局者は反発し「今回の裁定は、エアバスA380開発への政府支援に関しての複雑な事情を
くんでおり、単純にクロというものではない」としている。また完全にエアバスへの政府支援を
禁止させるものでもないという。約1000ページの今回の中間報告書は2部しかコピーが作成されて
おらず、それらは米当局と欧州当局に渡されたという。
欧州貿易連合のラッツ・グエルナー広報担当は「今回の報告は途中経過にすぎない」とし、
アナリストからも次回は一転して米国とボーイングの関係がクロと裁定される可能性があるとの
見方が出ている。
今回の報告を経て、米国側からの提訴についての結論は来年中に下されるとみられるが、
欧州からの逆提訴も考慮した最終的な決着はまだ数年先になるとアナリストの間では予想されている。
さらにエアバスA380に続いてエアバスA350に関しても欧州連合の各国政府は41億ドル規模の
開発支援を協議中だ。A350はボーイングの新型機787「ドリームライナー」の対抗機種であるため
米当局はこの件についてもWTOへの提訴を予定している。
ソースは
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/media/djDAK1677.html 依頼を受けてたてました。