【コラム】注目されるスウェーデンのマイナス金利 各国中央銀行が行方を注視 (Financial Times)[09/08/31]

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1やるっきゃ騎士φ ★
ソースはJB PRESSのサイトから
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/1659
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/1659?page=2
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/1659?page=3

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世界初の出来事にしては、驚くほどそっけない発表だった。しかし、スウェーデン中央銀行(リクスバンク)は
去る7月、銀行の準備預金にマイナス金利を導入した世界初の中央銀行となり、未知の領域に足を踏み入れた。

日本の金融危機が最悪期を迎えた時ですら、日本の中央銀行は、市中銀行に貸し出しの増加を促すことを
狙いとするこうした対策には手をつけなかった。

だが各国中央銀行は、過去2年間の異例の対策からの出口戦略を熟考する一方で、スウェーデンの
実験を注意深く監視していくことになるだろう。

■キング総裁が懸念する流動性の罠
イングランド銀行のマーヴィン・キング総裁は、英国で流動性の罠――現金が銀行システムの中に
滞留したまま、裾野の広い経済の中に染み出ていかない状態――が大きな懸念になりつつあることから、
スウェーデンを手本にする可能性があると仄めかしている。

日銀が2001年から2006年にかけて量的緩和を実施した時に日本で起きたのが、まさにこのような
資金の滞留だった。日本の市中銀行は、中央銀行の刺激策にもかかわらず、悲惨な経済状態を恐れて
貸し出しを拒んだ。

ほかの国でもこのような事態が続けば、各国中央銀行はスウェーデンの例に倣う以外ほとんど選択肢が
残されていないかもしれない。

RBCキャピタル・マーケッツのポンド金利商品開発責任者のジョン・ライス氏は、「英国の量的緩和実験が
成功するかどうかは、銀行が手に入れた余分なカネを個人や企業向けの貸し出しに回すかどうかに
大きくかかっている」と話す。

「今後2〜3カ月でその兆候が表れなければ、イングランド銀行はマイナス金利を検討するかもしれない。
これは要するに、貸し出しを拒む銀行に対する罰金だ」(同氏)

■貸し出しを拒む銀行に「罰金」
例えば英国では、中央銀行が主に市中銀行から国債や企業資産を買い取ることによって、
1400億ポンド近い資金が経済に注入されてきた。

しかし、量的緩和政策が3月5日に実施されて以来、理論的には市中銀行によって企業や個人への
貸し出しに使われるはずのこうした資金の多くが、結局は準備預金としてイングランド銀行に
預けられている。

市中銀行の預金は、3月初めの310億ポンドから、7月末には1520億ポンドに増加した。

銀行はこのような準備金の大幅増加を民間部門向けの貸し出しを増やすことに使えるため、
このこと自体は問題ではない。銀行の準備金が増えれば増えるほど、貸し出しの余力はそれだけ増える。

しかし、銀行が大きく増えた準備金を貸し出しに回した兆候はまだ見られない。
貸し出しを示す直近のマネーサプライの数字は依然かなり低迷している。

-続きます-