大阪でJOBカードが普及 (全2ページ) 2009.8.30 01:28
http://sankei.jp.msn.com/economy/business/090830/biz0908300130000-n1.htm 政府が昨年4月に始めた職業訓練支援制度「ジョブ・カード」が大阪で普及し始めている。
同制度の助成対象として認められた大阪府内の「認定企業」は現在66社と全国5位。
7月の近畿2府4県の失業率が6・3パーセントと雇用情勢が悪化する中、人材の確保に
悩む中小企業と求職者の“橋渡し”として定着すれば、関西経済の底上げが期待される。
衆院選で各政党は非正規労働者の待遇改善策を掲げており、今後、制度の拡充も見込まれる。
(藤原章裕)
ジョブ・カードは職歴や学習・訓練歴、本人の希望などを記入する専用の用紙(6種類でセット)。
求職者は履歴書だけでは伝えきれない細かな経歴や内容を記載し、自分の職業能力を
客観的に示すことができる。「キャリア・コンサルタント」と呼ぶ専門家が内容を確認することで、
経歴詐称を防ぐ。
企業側はカードを基に選考した求職者を「訓練生」として雇ったうえで、3〜6カ月間の
職業訓練を実施。適性があると判断した場合は正社員として継続雇用する仕組みだ。
自社の非正規労働者にジョブ・カードを記入させ、職業訓練を実施することもできる。
訓練生は給料をもらいながら、資格や技能を身につけられる。
同制度はフリーターの雇用対策として始まったもので、最大の特徴は、
訓練を実施する企業に対し、国から助成金が支給されること。中小企業の場合、
訓練生に支払う賃金の4分の3が助成される。
塗装など建設工事を手がける協榮塗装工業(大阪市東住吉区)では現在、アルバイトとして
試用されている稲森雄太さん(22)が、正社員を目指して職業訓練を受けている。
同社の澤田浩一社長(45)は「目的意識を持った優秀な人材を確保しやすくなり、
新入社員を育てる間、助成金を受けられるのはありがたい」という。
間もなく稲森さんを正社員として採用する予定だ。
ただ、認定企業が増えてきたとはいえ、これまで制度を使って正社員に
採用されたのは、大阪商工会議所管内でわずか8人。
大商の鱧谷貴人材開発部次長は「まだまだ認知度が低いのがネック」と話す。
このため、大商は受け入れ先の企業をさらに増やそうと、今年になって
企業の訓練メニューの作成を手伝う職員を増員した。
また、政府も補正予算のたびに訓練生の賃金助成割合を引き上げてきた。
大商管内では7月末、ジョブ・カードを使ってみたいと名乗りを上げた「協力企業」の数が
累計で100社に達した。これらの企業に実際の制度利用を呼びかけるとともに、
今年度末までに150社に増やし、さらに制度のすそ野を広げたい考えだ。