県内製薬業界が医薬品の輸送コスト削減に向けて取り組んでいる物流共同化事業が拡大している。
3年前からスタートした同事業は参加企業が当初から2・5倍に増え、輸送件数は7千件を突破。今夏からは
温度管理など輸送品質を向上させる研究にも着手した。事業を主導する県薬業連合会(森政雄会長)は
物流改革を通して各メーカーの競争力を高め、全国に誇る医薬品の一大生産拠点化を目指す。
事業は、薬事法改正で医薬品製造の全面的な委受託が可能になったことを受け、平成18年7月から
始まった。製薬業界では大手が地方の中堅メーカーに生産委託する動きが加速。同時に発注元からの
コスト削減要求が高まる中で、県内メーカーの受託生産を伸ばす狙いで実施した。
当初の参加企業は4社だったが、現在は広貫堂、日医工、ダイト、テイカ製薬、富山化学工業など10社に
拡大。さらに数社が参加に向けて検討を進めている。共同化は、参加企業などでつくる県医薬品物流共同化
研究会が各社に代わってトラックを一括手配。県内で製造した医薬品を関東、東海、関西などの方面ごとに
同じトラック便で出荷することも行っている。これによって物流コストは各社平均で5〜6%削減できているという。
県薬連によると、共同物流による輸送件数は年々増加しており、今年4〜6月は985件と昨年同期を
5割上回り、スタート時からの累計は今月までに7千件を超えた。
富山市内のメーカー担当者は「原油価格が上昇局面に転じる中、物流共同化のメリットは大きい」という。
医薬品の運送には、温度管理や安全性の高い梱包などの品質管理が求められていることから、輸送の
質を高める取り組みも進めている。研究会は今夏、トラック荷室内の温度管理に関する実験に着手。夏場の
高温対策が狙いで、積み荷を覆う独自のアルミシートの開発も検討している。
県薬連の松沢孝信専務理事は「品質、コストは各社共通の課題。物流の共同化事業を広げ、医薬品製造の
技術と人材が集積する薬都・富山をアピールしていきたい」と話している。
▽ソース:北日本新聞 (2009/08/21)
http://www.kitanippon.co.jp/contents/knpnews/20090821/25072.html