★【業界予測09夏】失業率10%、賃金も8%減続く 受難はこれから?
日経平均株価が1万円台を回復するなど、日本経済に「最悪期を脱した」との見方が
広まっている。製造業を中心に輸出が持ち直したことで生産が反転。国内消費にも
政府の景気対策の効果が浸透しつつあるのは確かだ。しかし、企業には雇用と設備という
2つの「過剰」がのしかかるほか、世界経済を牽引(けんいん)する米国経済は金融機関の
不良債権問題など多くのリスクを抱える。日本経済はこのまま回復軌道を描けるのか。
平均後退期間を超える
「速く、深く、長い」
7月24日に発表された平成21年度の経済財政白書は、昨年秋の「リーマン・ショック」
以来の景気後退の特徴をこう表現した。今回の景気後退のスピードは過去の不況時に
比べて非常に「速い」うえ、今年1〜3月期のGDP(国内総生産)も戦後最悪の年率
14.2%減と「深い」落ち込みとなった。過去の平均的な後退期間(16カ月)をすでに
超えた可能性も高く、「長い」景気後退となる公算が大きい。
今春からの在庫調整の進展により生産・輸出が上向いたことで、政府は6月、事実上の
「景気底打ち」を宣言した。7月末に発表された4〜6月の鉱工業生産は、前期比8・3%増と
5四半期ぶりに上昇。7、8月の生産計画もそれぞれ1・6%、3・3%の増産見通しとなっている。
とりわけ電子部品などの回復が目立ち、「7〜9月期にかけて需要回復が続く。産業用、
自動車用の回復は想定以上だ」(京セラ)との声も聞かれる。だが、マクロ経済全体を
みた場合、本格回復への道程は厳しいといわざるをえない。
「経済の水準でいえば(昨秋以降)7割に落ちてしまった。景気が底打ちしたからといって
手放しで喜べる状況にない」。林芳正経済財政相がこう話すのは、日本経済を取り巻く
リスク要因が多すぎるからだ。
隠れ失業607万人
「雇用が最大の景気下押しリスクだ」。閣僚、霞が関の経済官僚、財界人、民間エコノミスト…。
「派遣切り」などの雇用調整が急激に進んだ昨秋以来、多くの関係者が同様の言葉を口にしたが、
その不安は現実のものになりつつある。
6月の完全失業率は5・4%に達し、この5カ月で1・3ポイントも悪化した。14年から
15年にかけて記録した過去最悪の5・5%の突破も時間の問題になっている。
国内企業は正規・非正規を問わずに労働者を削減するなど、猛スピードで固定費圧縮を
行った。自動車や電機をはじめ主要メーカー20社が昨年10月から今年3月までの半年に
削減した人員数は、正社員だけで国内外合わせて約8万7000人に達したほどだ。
それでも、経済財政白書は「企業内失業者(余剰人員)」が1〜3月期に過去最悪の
607万人に上ると試算している。雇用調整助成金の拡充策などでどうにか雇用を
維持している状態ともいえる。(
>>2-5につづく)
ソース:FujiSankei Business i. (田端素央) 2009/8/16
http://www.business-i.jp/news/flash-page/news/200908160011a.nwc