アフリカ南東部のマラウイ共和国は、オバマ米大統領の持論を裏付ける好例だ。
その地に合った穀物の種子と肥料、それに輸送手段があれば、アフリカは自活できるというのが
オバマ大統領の主張で、今月10日のラクイラ・サミットで記者団に「アフリカが食料の自給自足を
実現できない理由などない。十分に耕作可能な土地だ。足りないのは、その地に合った種子、
適切な灌漑(かんがい)、それに農業従事者が作物を育て、それを市場で販売し、適切な値付けが
行われるような組織的メカニズムの類だ」と話した。
食料危機で2005年には人口の40%に相当する500万人が国際支援に頼らざるを得なかった
マラウイは、食糧輸出国に生まれ変わった。農業従事者らは、政府の肥料助成金計画のおかげで
転機が訪れたと考えている。
5月に再選を果たした同国のムタリカ大統領は先週、「この世界は大変な食糧不足に直面しているが、
われわれは世界に対して自分たちが提供できるということを学んだ」と語り、「わが国の補助金政策は
成果をあげており、他の国々の教訓にしてもらいたい」と自信を示した。
マラウイの商業中心地、ブランタイア郊外の自作農場で、畑の隅々まで150センチを超える高さに
生い茂ったトウモロコシを見下ろしながらラックモア・バンダさん(62)は「05年に補助金が
出る前は、肥料を買う余裕がなかったので不作続きだった。今は生産性が上昇、所得も増えている」
と語った。
ムワディワ財務官によると、人口1430万人のうち約720万人の小規模農家が4年の間、
補助金を受けている。
補助金は金券で支給され、農家が肥料50キロを購入すると費用の70%相当が返金される仕組みだ。
国際農業生産者連盟(IFAP、パリ)のアジャイ・バシー代表は「数キロの肥料を散布するだけでも
生産高は倍増する」といい、「一定の保護策があれば、マラウイの経験に倣うことができる。
われわれは補助金政策に実際にかかった費用を知る必要がある」と語った。
世銀マラウイ駐在員事務所代表を務めるデビッド・ローバッハ氏によると、マラウイの補助金政策は
国家予算の約15%、農務省歳出の約80%に相当する。
マラウイ政府は今年、17億8000万クワチャ(約119億円)を肥料購入補助金として
拠出する予定だ。08年を39%下回るが、肥料の価格低下を見越した額だという。
バンダ財務相は今月3日、トウモロコシの生産高が今年は推定370万トンと、前年比36%増、
自給自足に必要な240万トンを上回るとの予想を明らかにした。国連食糧農業機関(FAO)が
16日に発表した報告書によると、過去5年間でマラウイのトウモロコシ生産高は57%増と、
周辺のアフリカ南部9カ国いずれもしのぐ増産を達成した。
ソースは
http://www.business-i.jp/news/bb-page/news/200907220019a.nwc マラウイの位置を示す地図は
http://www.business-i.jp/news/bb-page/news/200907220019a2.jpg