コマツは、プレス機械など産業機械の協力企業が、コマツ以外からも受注できるように全面支援する。
協力企業が外部から獲得してきた仕事でできない工程があれば、コマツが「下請け」し、設備の貸し出しや
技術指導にも応じる。長引く不況でコマツからの発注量の増加が見込めない中、協力企業の生き残りに
向けて支援の姿勢を一段と強める。
コマツの岡田正産機事業本部副本部長、山野一郎金沢工場長が17日、北國新聞社の取材に応じ明らかにした。
具体的な「下請け」は板金加工などの作業を想定している。受注の獲得が期待できる分野は造船など。
不況で自動車をはじめ、多くの製造業が低迷する中、「重厚長大の分野は受注残をまだまだ抱えている」
(岡田副本部長)という。
こうした分野からの仕事を協力企業が請け負う場合、対応できないものはコマツで請け負う。製品の
品質チェックでもコマツの測定器を貸し出すほか、技術指導も進める。
これまでも、余剰の設備や資材の買い上げで支援してきたが、協力企業が自ら仕事量を増やせるようにする。
岡田副本部長は「実際に協力企業は造船の仕事を取り始めている。協力を求めてきたことはまだないが、
今後は確実に増える」とし、支援の用意があることを積極的に伝えていく。
一方、コマツからの発注量の増加は当面厳しい状況だ。
コマツの大型プレス機の顧客はトヨタ自動車。ハイブリッド車「プリウス」は好調だが、全体に占める
割合としては低い上、近年の設備増強で生産能力が十分あり、新規投資が出てこないという。
コマツ全体のプレス機受注は1月から5月まで前年同期比80%以上の減少で推移し、「特に大型プレスは
昨年10月以降、新規受注がない」(岡田副本部長)という。現状は受注残を消化しており、産機部門は7〜9月で
各月4日の臨時休業を実施して調整する計画だ。
ただ、中小型のプレス機は液晶パネルや医療機器向けの需要が出始めており、6月は前年同期比で60%減
の落ち込みに戻した。岡田副本部長は「低水準だが、目に見えて改善している。5月までの極めて厳しい状況
からは脱した」とみている。
収益への影響が大きい大型プレス機は、中国やインドの現地メーカーに営業を拡大する方針だ。同副本部長
は「日米欧の自動車関係の本格回復は2012年度と覚悟しなければいけない」とし、新興国需要の取り込みを
積極化する方針を示した。
▽ソース:北国新聞 (2009/07/18)
http://www.toyama.hokkoku.co.jp/subpage/K20090718301.htm