ソースは
http://www.business-i.jp/news/bb-page/news/200907160075a.nwc [1/2]
米ゴールドマン・サックス・グループのチーフエコノミスト、ジム・オニール氏は、ブラジル、
ロシア、インド、中国の新興4カ国の頭文字から「BRICs」という呼称を考案したことで
長く名を残すだろう。そして今から10年後には、CLSAのアジア太平洋市場担当エコノミスト、
ニコラス・キャシュモア氏も、別の経済新語で同じように有名になっているかもしれない。
オニール氏が2001年に考案したBRICsは、市場を変革する主要な新興市場国を表す言葉として、
今や至るところで用いられている。
キャシュモア氏は、そのBRICsから中国とインドの2カ国を抜き出し、そこにインドネシアを加えて
「チャインドネシア」という呼称を作り上げた。
キャシュモア氏は、この言葉がBRICsと同じぐらい流行すると思うかと問われると、
「もちろん、そう思いたい。BRICにインドネシアの頭文字の『I』を加えたら語呂が悪いからね」
とジョークで返した。
◆可能性とリスク
「チャインド」に1カ国を加えた理由には説得力がある。中国とインド、インドネシアの3カ国合わせた
GDPは既に米国の44%に相当する。キャシュモア氏によると、緩やかな成長率にもかかわらず、
5年以内に3カ国のGDP合計は10兆ドル(約935兆円)を上回る見込みだ。
ただ、中国の社会不安やインドの高い貧困率、インドネシアの政治腐敗など、考慮すべきリスクがない
というわけではない。貿易や海外資本への依存度がいかに低くても、世界的なリセッション(景気後退)の
深刻化は誰にとってもプラスではない。
しかし、チャインドネシアは、価値重視の投資家が望むすべてを備えている。インドネシアは成長率でも
アジアで3番目であり、見通しは明るい。
インドネシアの存在は、これら3カ国が競争すると同時に、互いに補完し合えることを示す。
同国は重要な資源供給国であり、アジアの超大国である中国とインドの成長てこ入れに寄与できる。
インドとインドネシアにおいては、拡大しつつある国内経済が世界的な経済危機の回避に貢献したことも
指摘すべきだろう。依然として輸出に過度に依存している中国についてですら、景気刺激策が内需拡大を
後押しすると多くのエコノミストはみている。私自身は疑問視しているが、十分あり得ることだ。
チャインドネシアを論じることは、われわれが今後向かう金融情勢を考えることだ。07年以前に見られた
高成長に近く戻る公算は小さい。世界のパワーバランスはニューヨークやロンドン、香港から途上国へと
移り始めつつある。
複雑な金融商品の取引で繁栄してきた都市にとって、規制当局が投機抑制に力を入れることは不利に働く。
逆に、大きな潜在性を持ち、政府が改革を公約している高成長国には注目が集まるだろう。
チャインドネシアの世界GDPへの相対的な寄与は、米国の衰退に伴い増加する見通しだ。
-続きます-