旭化成が2015年をめどに中東に、年産20万トン規模のアクリル繊維や合成樹脂の原料の一つである
アクリロニトル(AN)を生産する新工場を建設することが3日、分かった。大口の自動車や家電向け需要が
長期的に伸びると判断。世界最大の天然ガス埋蔵量地域である中東に生産拠点を設けることで、原料の
主成分であるLPG(液化石油ガス)の調達コスト削減を図り、競争力を高める考えだ。
建設する国はサウジアラビアを軸に検討している。工場は進出先の現地企業との合弁となる見込み。
投資額などの詳細は今後詰めていく。合成樹脂市場の状況によっては、建設時期を前倒しする可能性もある。
旭化成は10年末に総額700億円を投じてタイで、LPGを主成分とするANを20万トン生産する新工場を
合弁で立ち上げる計画を打ち出している。中東でも同様の原料を生産する計画だ。
タイの工場が稼働すれば、同社のANの生産能力は世界トップクラスとなり、中東での工場を加えるとシェア
でもトップ級となる。同社の合成樹脂の原料生産量は、国内と韓国を含めて年間75万トンで、世界2位。
ANの08年の世界需要は、前年比15%減の440万トンまで落ち込んだ。しかし今後も自動車、家電部品
向けを中心に、年1〜2%の安定成長が見込まれているほか、繊維向けもインドやトルコ、パキスタンといった
国で需要が伸びているため、将来、供給能力不足を指摘する声がある。
同社によると、「成長率と現状の生産能力を比較すると計算上は、2年に1プラントの増設が必要」(担当者)という。
▽ソース:FujiSankei Business i (2009/07/04)
http://www.business-i.jp/news/sou-page/news/200907040103a.nwc ▽参考 タイ国でのアセトニトリル事業化検討に関する覚書締結について(プレスリリース)
http://www.asahi-kasei.co.jp/asahi/jp/news/2009/ch090630.html ▽株価情報
http://company.nikkei.co.jp/index.aspx?scode=3407