金融庁の企業会計審議会(長官の諮問機関)は30日の総会で、国際会計基準に基づく
連結財務諸表の作成を15〜16年にも企業に義務付けるとした中間報告を決議した。義務化の
対象は全上場企業約3000社。段階的な導入を検討する余地も残しているが、企業も会計士も
準備はこれから。決算書作成に混乱が生じる可能性もある。
導入を一斉にするか段階的にするかは、12年に最終判断し、一斉に義務化する場合は、最低3年の
猶予期間をおく。また、10年3月期決算から国際基準を選択できる。
国際基準では、これまでの「最終(当期)純利益」が、不動産や有価証券の含み損益などを加えた
「包括利益」になるなどの変更が生じる。有価証券については時価評価が基本だが、昨秋の金融危機後、
時価評価方法の一部見直し作業が国際会計基準審議会(英国)で進んでおり、不透明な部分もある。
既に固まった国際基準と日本基準とのすり合わせ作業は始まっており、金融庁は「企業には
それほど負担にはならない」と話す。日本経団連は「どの程度変更が必要かまだ分からない。
経理システムなどの変更が必要になる場合もあるが、冷静に対応してほしい」と呼びかけている。
日本公認会計士協会によると、国内の約1万8000人の会計士のうち実際に国際基準で財務諸表を
作成した経験がある会計士は「ほとんどいない」(広報グループ)状況。同協会などは7月にも研修機関を
発足させ、義務化に備える計画だ。
◇国際会計基準とは…
欧州を中心に世界100カ国以上で使われている会計基準。日本は日本独自の基準を採用しているが、
国際基準を使うことで、企業は海外投資家から資本調達しやすくなったり、進出する国ごとに違う決算書を
作成する作業が省ける。同じく独自基準を採用する米国も、14年以降の段階的な義務化を、11年に
最終判断する方針だ。
▽ソース:毎日.jp (2009/06/30 19:49)
http://mainichi.jp/select/biz/news/20090701k0000m020059000c.html ▽報道発表資料 (金融庁)
http://www.fsa.go.jp/news/20/20090630-4.html