レナウンは26日、2011年をめどに中核のアパレルブランド「シンプルライフ」を
中国市場に投入する方針を明らかにした。同ブランドの衣料品を生産・販売できる
権利を現地企業に与え、百貨店などで販売する。中国ではすでに男性向けの2ブランド
を扱っているが、新たに投入するシンプルライフは、男性向けと女性向けをそろえる
大型ブランド。成長が期待される中国市場に、主力ブランドを投入するとともに、
取り扱い店舗数も増やし、業績向上につなげたい考えだ。日本のアパレル大手は
中国での事業展開を強化しており、国内市場が頭打ち傾向のなか、日本メーカーに
よる中国での販売競争が激化することにもなりそうだ。
≪富裕層に照準≫
レナウンが新たに投入するシンプルライフは、ジーンズやシャツなどの高級カジュアル
衣料品で構成し、40〜50代が顧客層の中心になっている。同社では急速な経済成長
が続く中国では「普段着にも高級感を求める富裕層が増加する」(同社)と判断し、
国内で取り扱う46ブランドの中で、売上高が最大規模の同ブランドを、中国でも
売り出すことにした。
生産と販売のライセンスを供与する現地企業と、出店計画や店舗イメージなどを共同で
企画するなどのブランド戦略を展開する。
レナウンは09年2月期連結決算で3年連続の最終赤字となり、厳しい経営が続いて
いる。これまでも自社ビルの売却や、不採算ブランドの廃止などのリストラを通じ、
経営体質の改善を図ってきた。5月には経営陣を刷新し、40代の北畑稔氏が新社長に
就任。新たな成長戦略を策定するなか、同社が着目したのが中国などの新市場。国内
衣料品市場は頭打ち傾向が一段と強まり、「人口増や経済発展を背景に、消費意欲が
旺盛な中国での収益拡大が、経営を軌道に乗せる上で必要不可欠と判断した」と説明する。
このためシンプルライフに加えて、中国で展開する既存ブランド「ダーバン」と
「インターメッツォ」の拡販にも力を入れる。具体策として両ブランドの取り扱い
店数を、現在の59店から11年度末までに約150店舗に増強。また、新ブランドの
投入と既存ブランドの販売拡大により、中国を中心とした海外売上高を09年2月期の
約140億円から、15年2月期には250億円まで拡大する。
≪認知度向上カギ≫
中国などの成長市場をめぐっては、他のアパレル大手も進出を加速している。
三陽商会は5月に、20代女性向けのブランド「スマッキーグラム」の販売を始めた。
これまで三陽商会が中国で販売してきた2ブランドは30代以降が主要顧客層。
しかし、「幅広い年齢層の需要を吸い上げる」(同社)狙いから、ブランドを拡充した。
出店も積極的に進め、現在の10店舗から今年度中に20店舗、11年には70店舗
まで拡大する。
オンワードホールディングスも08年秋に20代女性向けブランドを発売した。
中国で扱う既存ブランドに比べ、価格が約3割安いため、需要の裾野を広げる効果が
期待できるという。中国市場でどうブランドの認知度を高め、収益を上げられるかが
経営の重点課題になってきたようだ。
●アパレル各社の中国での事業展開
http://www.business-i.jp/news/sou-page/news/200906270012a2.jpg ◎ソース
http://www.business-i.jp/news/sou-page/news/200906270012a.nwc