少子化による「大学全入時代」を迎え、競争が激化する阪神間の私立大学が、
受験生対象の「オープンキャンパス」に力を注いでいる。ピークとなる
夏休みを前にした今月初めに、定員割れが続いていた聖トマス大学(兵庫県尼崎市)
が2010年度から新入生の募集を停止すると発表。危機感を強める各大学は、
従来の入試説明会や模擬授業に加えて、体験型のイベントを盛り込んで娯楽性を
高めるなど受験生へのPRに躍起になっている。
「シュクピー」と名付けられたキャラクターは、今年から夙川学院短期大(西宮市)が
オープンキャンパス用に採用した。大学名の頭文字「S」をモチーフにしたデザインで、
前髪は「川」のイメージ。訪れた受験生らに携帯ストラップやボールペンなどのグッズ
を配るのをはじめ、当日はキャラクターをプリントしたTシャツを学生スタッフが
着用し、親しみやすさをアピールする。
同大広報課は「今どきのかわいいデザインを公募で選んだ。高校生にグッズを使って
もらい、夙川学院短大の存在を印象づけたい」と語る。
従来は「入試説明会」や「模擬授業」が主流だったオープンキャンパスだが、近年は
「体験型」「参加型」のイベントを盛り込む大学が目立つ。
甲子園大(宝塚市)は4日間の日程で、メーンの「体験コーナー」は日替わりメニュー
を用意。「米粉パンを焼こう」「ソフトドリンクを分析しよう」などのユニークな
テーマ設定で、栄養学部の研究を紹介する。「高校生を飽きさせないよう、興味をひき
そうな内容にした」と同大入試課。
夙川学院短大でも「参加型」を重視し、夏野菜カレーやジェラートの調理・試食を
盛り込んだほか、ファッション専攻のイベントとして、ネイルアート体験▽組みひもに
よる携帯ストラップづくり▽紙粘土細工でケーキなどをつくる「デコスイーツアクセ
サリー」-などアイデア満載の企画が並んでいる。
一方、学生食堂で昼食をサービスする「学食体験」や、過去の入試問題を解説する
「対策講座」は恒例行事として定着。武庫川女子大(西宮市)では、約10年前から
大手予備校の講師を招いており、今年も出題傾向などを解説する「入試攻略満点レシピ」
を開く。神戸女学院大(西宮市)や園田学園女子大(尼崎市)も、職員による過去問題
の解説を行う。
開催日程をめぐり、各大学は頭を悩ませる。武庫川女子大は初めての試みとして、
お盆の8月14〜16日に開催。「多くの大学が毎週土日に開く。重複しない日程を
選んだ」という。芦屋大(芦屋市)は例年7、8月のみに開催していたのを11月まで
延ばし、回数も約2倍に増やす。関西学院大(西宮市)も日程を変更。「夏休みの
早い時期に開いた方が受験生のためになる」という配慮から、8月1、2日に初めて
2日連続で開催する。
オープンキャンパスに力を注ぐ理由について、各大学は「実際に足を運んでもらい、
自分の目で見て体験してほしい」と説明する。聖トマス大の募集停止に象徴される
ように、「全入時代」を背景とした私立大学の経営が厳しさを増す中で、ある予備校
関係者は「受験生を集めるために、なりふりかまわず必死にならざるを得ないのだろう」
と指摘している。
●キャラクターで受験生に親しみやすさをアピール=夙川学院短期大学
http://www.kobe-np.co.jp/news/hanshin/0002043832.shtml ◎ソース
http://www.kobe-np.co.jp/news/hanshin/0002043832.shtml