兵庫県を中心に電池産業が集まる関西で、生産拠点の新設など集積が加速している。
販売好調なハイブリッド自動車向けに加え、来月には市場に本格投入される
電気自動車用の蓄電池、太陽光で発電する太陽電池などへの投資が相次ぐ。
地球温暖化対策を新たな経済発展につなげるグリーン・ニューディール政策の潮流に
乗った形だが、今後の国際競争の激化に備えて、国も産業振興に動きだした。
日本政策投資銀行関西支店によると、携帯電話やノートパソコンなどデジタル家電に
使われるリチウムイオン電池の生産量は、世界首位の三洋電機など日本企業が約6割を
占め、国内生産の約8割が兵庫など関西で生産される。また、日本企業の世界シェアが
約2割に上る太陽電池も、国内生産の約7割が関西という。
特に兵庫は三洋の電池事業の拠点。洲本市に電池事業を統括する社内カンパニーの
本社を置き、洲本工場では、ハイブリッド車向けニッケル水素電池の生産ラインが
フル稼働中だ。加西市では今秋、自動車搭載用リチウムイオン電池の工場を新たに
建設する。
また、化学大手カネカの子会社・カネカソーラーテック(豊岡市)が、100億円を
投じ本社工場を拡張、増産態勢の準備を進めている。
兵庫と接する京都府福知山市では、GSユアサとホンダでつくる「ブルーエナジー」が、
ハイブリッド車用のリチウムイオン電池の新工場を建設中。大阪湾岸でもパナソニック
や三洋、シャープがリチウムイオン電池、太陽電池の新工場を建設する。
設備投資が相次ぐ関西電池産業の集積を生かそうと、国も動きだした。経済産業省は
5月末、電池や素材、自動車メーカーなどによる「蓄電池システム産業戦略研究会」を
設置。異業種連携や需要拡大のための規制緩和などの施策について検討し、10月を
めどに日本としての産業戦略をとりまとめる。
関西の電池産業のさらなる発展方策を探る報告書「電池でつながる関西・東海」を
まとめた日本政策投資銀行関西支店の坂田枝実子副調査役は「中小企業にとっても
チャンス」と話す。新たな市場ができることで、電池部品向けのプラスチックや
金属加工など関連分野への新規参入が期待できるという。
さらに、坂田副調査役は「電池を通じて、自動車産業などものづくりが盛んな東海地区
との連携も進めていくべきだ」と提言。東海地区には、三菱重工業(東京)や川崎
重工業(神戸市中央区)などの航空機関連の事業所も集まる。新型ジェット機の生産
などでも、関西の技術力が生かせるとみる。
坂田副調査役は「関西と東海とは産業構造の補完性が高い。既存の産業集積を生かせば、
新しい市場も生まれてくる」と話している。
●関西に集積する主な電池工場
http://www.kobe-np.co.jp/news/keizai/Images/02044284.jpg ●販売好調なホンダのハイブリッド車「インサイト」に搭載されているニッケル水素電池
http://www.kobe-np.co.jp/news/keizai/Images/02044283.jpg ◎ソース
http://www.kobe-np.co.jp/news/keizai/0002044282.shtml