右肩上がりの年収を前提に、マイホームを買った人たちがピンチだ。給料も、
ボーナスも大幅に減って返済に行き詰まるケースが出始めた。「米国のように、
住宅ローンの焦げつきが社会問題化する恐れがある」。専門家からは「6月危機」を
心配する声も出ている。
IT会社に勤めていた堺市の男性(48)は、給料が昨年9月に70万円から
50万円、さらに年末に20万円に激減。たまらず同じ業界で転職したが、
転職先でも3カ月の研修期間を過ぎても給与は20万円のまま上がらない。
4月にそこも離れて就職活動中だ。
月々12万円の住宅ローン返済が重くのしかかる。一軒家を購入したのは01年。
3180万円の35年ローンを組んだ。当時はIT会社を共同経営していて
900万円近い年収があった。ところが、経営難に陥って住宅ローン以外の借金も
かさんだ。残債は住宅分の3千万円を含め4500万円ある。
いま、住宅ローン以外の借金を減額してもらい、生活再建をめざす「個人再生」を
裁判所に申請する準備をしている。ただ、相談を受けた弁護士は「まずは安定した
再就職先を見つけないと、申請が認められない」と危ぶむ。
男性は「生命保険で返すしかないのか。本気でそう考える時もあります」と話す。
「今のままでは60歳の定年後、5年以内に貯蓄を使い果たしてしまいます」
大阪市内のプラスチック部品メーカーの工場で一緒に働く夫(52)と妻(57)は、
ファイナンシャルプランナーの山下修一さん(46)の説明に青ざめた。将来の資産
残高を試算した棒グラフは65歳の手前でマイナスに転じていた。
夫婦合わせた手取りは4月から12万円減り、33万円に。正社員の夫は基本給を
1万5千円カットされ、皆勤手当、食事手当などの諸手当も軒並み廃止。昨冬の
ボーナスは半減の15万円。今夏は出るかどうかも危うい。パートの妻も、受注減で
勤務時間が大幅に減っている。
8年前に2600万円のローンを組んでマンションを買った。残債は2100万円で、
完済予定は75歳。「返していけるのか」と心配になり、山下さんに相談した。
山下さんは生命保険の解約金を繰り上げ返済に回すよう助言。さらに、今より月々の
支出を3万〜4万円抑えながら夫が65歳まで働けば、70歳までに完済できるという
新たな試算をはじき出した。
「退職金が想定の半分しか出ず、住宅ローンが返せなくなった」「妻のパート先が
倒産した」。山下さんのもとには今年に入り、こんな相談が急増しているという。
※もう少し続きます。
●東証1部上場企業の夏のボーナス平均支給額の推移
http://www.asahi.com/national/update/0618/images/OSK200906180106.jpg ◎ソース
http://www.asahi.com/national/update/0618/OSK200906180069.html