日立製作所やTDKなどメーカー各社が、電気製品などに含まれる化学物質の含有情報を共有するシステムの
運用を6月末から開始する。欧州連合(EU)が導入した化学物質規制「REACH(リーチ)規則」に対応した
動きで、完成品メーカーから部品メーカー、素材メーカーまで50社超が既に参加登録した。将来はREACH
以外の環境規制にも対応させる方針で、世界的に環境規制が強化される方向の中で、メーカーの自主的な
取り組みとして注目される。
システムは、化学物質情報の管理などを行っている「アーティクルマネジメント推進協議会(JAMP)」が
中心となって運営する。参加企業は、化学物質データを登録した自社の管理システムを、JAMPが運営する
システムと接続。参加企業は各社が登録している化学物質情報を自由に閲覧できるほか、製品に使用する
化学物質を変更した際の情報更新も簡単にできる。
事前登録では、日立や東芝、パナソニックなどのメーカーのほか、TDKや村田製作所など部品メーカー、
三菱化学や住友化学などの素材会社など幅広い企業が参加。運用開始後はこれらメーカーが取引先などに
参加を促すなどして「将来は数千社規模にまで拡大」(参加メーカー)させたい考えだ。
EUのREACHは、欧州に輸出する製品に含有される化学物質の登録を義務づける制度。2007年6月に
施行され、移行期間終了後の来年11月に本格導入される。EUが06年に施行した環境規制「RoHS(ロース)
指令」では6種類の化学物質を規制していたが、REACHでは将来1500種類が規制対象になるとみられている。
国内メーカーの間では「本格導入後は、現在の(個別社の)取り組み状態では対応は難しい」(大手)との
認識が高まっていた。REACHへの対応が遅れれば、実質的に欧州向けの輸出を縮小せざるを得ない事態も
想定されるため情報共有システム構築の動きが一気に進んだ格好だ。
また、欧州だけでなく中国もREACHに似た厳しい化学物質規制の導入を検討しているとされ、世界的に
環境規制は強化に向かっている。JAMPでは、今後新たに出てくる環境規制にも対応していくことを検討していく。
■REACH(リーチ)規則 欧州連合(EU)が2007年6月に施行した化学物質規則。EU域内で製造・販売量が
年1トンを超える企業は、含有する化学物質を欧州化学庁(ECHA)に届け出ることが義務づけられる。使用の
届け出や認可が必要な物資は1500種類に達するとみられる。経過措置期間終了後の来年11月以降に、
段階的に対象物質を増やしていく見通し。
▽ソース:MSN産経ニュース (209/06/17 20:36)
http://sankei.jp.msn.com/life/environment/090617/env0906172038002-n1.htm