関東地方でも10日に梅雨入りし、傘が最も売れるシーズンが本格的に到来した。
百貨店各社が集客の目玉に据えるのが、エコ傘や“耐風傘”といった一風変わったタイプ。
百貨店業界は販売不振が続いているだけに、ユニーク傘の売れ行きに期待を寄せている。
≪部品交換できる≫
新宿高島屋(東京都渋谷区)は先月27日から、傘の特設売り場「傘パラダイス」を開設。
売り場を通常の5倍以上に拡大した。目を引くのは、分解できるエコ設計傘「エコ・デ」。
生地と骨、ハンドルの3つのパートに分解して捨てることができ、ゴミの分別化に貢献する。
分解が可能なことから、パーツの取り換えも簡単で、修理のスピードも他の傘に比べて圧倒的に
速い。また、ハンドル部分は別売りで、バナナやフォーク、カップケーキなどから好きな物を
選んで取り付けることができ、ファッション性を重視する若い女性からの高い支持を得ている。
松屋銀座本店(東京都中央区)では3日から、今年で49回目を迎える「百傘会」が始まり、
傘売り場を通常の約8倍の広さに広げた。
今年のいち押しは松屋オリジナルの「ビニール傘」。これまでの無味乾燥なビニール傘とは異なり、何
度も繰り返し使いたくなるようなデザイン性の高いものに仕上げた。ビニール地に水玉などの
ポップな絵柄を描いたタイプと、透明のビニール生地とポリエステル生地を縫い合わせた
シックなタイプの2種類がそろっており、20代から40代までの女性に人気が高い。
また、同店は「雨晴傘」にも力を入れている。晴雨兼用の日傘は多いが、「晴」と「雨」の漢字が
逆転している通り、本来は雨傘だが紫外線防止加工を施しているため、晴れた日には日傘として
使うこともできる。
「晴雨兼用の日傘は、大雨が降るとすぐに生地に雨が染みこんで傘が弱くなってしまう。
雨晴傘はもともと雨の日用に作られているので、普通の雨傘のように丈夫」とアピールする。
≪紳士用も注力≫
小田急百貨店(東京都新宿区)は、婦人用傘に比べ品数が圧倒的に少ないとされる紳士用傘に
力を入れ始めた。
日本有数の超高層ビル街の近くに立地しているため、「ビル風に負けない強い傘がほしい」
といった意見を取り入れ、今年から、取り扱い始めたのがオランダの傘メーカー「センズ社」製の
「センズアンブレラ」だ。この傘の形状は、前から来る風を後ろに逃す流線形で、強風でも傘が
裏返りにくい点を売り物としている。
全国百貨店の4月の売上高は既存店ベースで14カ月連続の前年割れ。衣料品や高額品が低調な上、
頼みの食料品も陰りが出ている。回復の兆しが見えない中、百貨店各社は季節商品の傘で集客に
つなげたい考えだ。
ソースは
http://www.business-i.jp/news/ind-page/news/200906110012a.nwc