【コラム】2700億円をどう使うべきか--政府の超大型研究助成金と知財戦略 (日経BIZ+PLUS) [06/07]

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1ライトスタッフ◎φ ★
政府が提案していた追加経済対策となる2009年度超大型補正予算が、5月29日に
成立した。歳出総額13兆9300憶円という補正予算は過去最大規模であり、雇用対策や
資金繰り支援など景気浮揚の下支えに重点を置いている。2700億円という巨額の
科学研究助成も計上され、研究者の間で波紋が広がっている。科学研究者にとっては
前代未聞の規模である。自民党主導、つまり政治主導で組んだ補正予算であるために
実現した、破格の研究費とえる。

自民党政務調査会は4月16日から1カ月半にわたり科学技術創造立国推進調査会
(立国調査会、船田元会長)を開催した。研究開発成果実用化推進法案プロジェクト
チームおよび世界最先端研究支援強化プログラムプロジェクトチームの合同会議を
設け、吉川弘之氏、江崎玲於奈氏、荒井寿光氏ら各界を代表する識者を呼んでヒア
リングをした。

ヒアリングでは、巨額の研究予算を投じるに当たって、研究テーマだけでなく研究者
らの目指す方向、国際競争力を得るための取り組み、予算執行の運用などについて
率直な意見を聞いた。今後の施策にこれらを生かすという目的である。

補正予算成立とともに明らかになった先端研究の支援制度を見ると、注目度の高い
医療、環境、素材といった研究分野で大学や企業などから約40チームを公募で選び、
1チームに5年で最大150億円を助成する。いずれも5〜10年先の実用化を目指す
という。

これまでの研究助成金で最大規模は、科学技術振興機構(JST)の戦略的創造研究
推進事業(ERATO)だ。金額は5年で15億円。この10倍もの助成金となるから、
研究者らが驚いたのは当然だ。

立国調査会では識者がいくつかの魅力ある提言をしたので、その代表的な2つを紹介
する。

■COEからTOEの時代に入る

JST研究開発戦略センター長の吉川氏は、従来型のCOE(卓越研究拠点)に代わるNOE
(Network of Excellence、卓越研究ネットワーク)の構築を提言した。吉川氏による
と、従来の研究拠点は半導体、生産技術、材料など研究組合をつくった省庁の縦割り
によるプロジェクトだった。ここで研究した基礎的な科学技術の知識を企業内の研究
部門などが引き継いで応用研究を進め、高品質で低価格の製品を世界に供給する
日本型イノベーション(技術革新)を起こした。

これに対し21世紀型の日本のイノベーションは、大学などで基礎的な知識を創出しても
以前のように知識を産業界に流す仕組みがなくなった。産業界は激越な競争下に置かれ、
基礎研究の廃止を余儀なくされたケースが多い。特許戦略も変化して製品開発の選択
と集中を迫られ、この変化に対応できる技能者や技術者が不足してきたからだ。

ここに至って新しいネットワークの構築が必要だ。大学での基礎研究を企業に橋渡し
するには、従来のような直線的ではなく、独立行政法人の研究所がしているような
分析型基礎研究、構成型基礎研究、死の谷を越える研究、応用研究などのグループが
企業の研究者へと引き継いでいく構図が必要になる。

研究助成金も科学知識、イノベーション、産業振興など異なる思想・方針・目的を持つ
配分機関が混然一体となった形でなければならない。

◎ソース http://bizplus.nikkei.co.jp/colm/baba.cfm

※まだ続きます。
2ライトスタッフ◎φ ★:2009/06/07(日) 04:52:29 ID:???
>>1の続き

吉川氏は例えば、1つの研究テーマであっても文部科学省の日本学術振興会、JST、
経済産業省の新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)などのように異なる思想
・方針・目的を持つ機関でも助成できることが重要であると主張した。これは新しい
形の産学連携の構築であり、大学、独法研究所、企業の役割を明確にしながらも企業の
製品化を実現する道筋になるとしている。

COEは同質の研究者が集まって卓越研究拠点をつくるのに対し、NOEは異なる学問領域、
異なる研究段階にある異質の研究者が集まって卓越研究ネットワークをつくるもので
ある。

■特許法改正に向けた提言

これを実効性のあるものにするために、知財戦略が必要であると主張したのが元内閣
官房知財戦略推進事務局長の荒井寿光氏(東京中小企業投資育成社長)である。
荒井氏は「良い知財プラットフォーム(基盤)をつくれるかどうかでイノベーションの
成否が決まる」とし「知財はオープンイノベーションに参加するパスポートだ」と
主張した。たとえば新型万能細胞(iPS細胞)による再生医療の分野は、国際的な協働
によってイノベーションが実現するので、知財は国際的な共同研究・実用化のための
手段であるとした。

日本では医療特許を認めていない。このため米国で特許取得しなければ国際協働の
一員として認められず、日本の特許制度だけに頼って戦略を進めても、国際的には
ほとんどメリットが得られないことになる。2年後に予定している特許法改正では、
発明の定義を広くするために特許法第2条に「発明とは、自然法則を利用した技術的
思想の創作のうち高度のものをいう」とあるが、荒井氏はこの中の「自然法則」を
削除するように荒井氏は提案した。

ソフトウエアやバイオテクノロジー分野では、必ずしも自然法則による発明とは限らず、
この条文が現代の研究現場にそぐわなくなっていると指摘した。

また、医療特許を認めるために特許法第29条に「産業上利用することができる発明を
した者は、……その発明について特許を受けることができる」とある中から、産業の
利用可能性の要件を削除するよう提案した。研究者の論文発表から出願までの猶予期間
を現在の6カ月から1年に延長することも主張した。

現在の研究現場にそぐわない条文を抱えた特許法では国際競争力で不利に立たされる
ことを荒井氏の提言は示唆した。今後の特許法改正にも影響を与えるだろう。

今回の補正予算のうち、科学技術関係の予算2700億円は確かに破格であるが、他の公共
事業に比べればケタが小さい。例えば国土交通省の公共事業費の配分を見ると、地方
負担を含む事業費ベースで2兆449億円に上る。道路関係だけで9317億円で、4月の
国土開発幹線自動車道建設会議で事業着手が認められた高速道路の新規4路線と
4車線化6路線のすべてに事業費が付いた。また、整備新幹線の建設費として1100億円
を盛り込んでいる。

※もう少し続きます。
3ライトスタッフ◎φ ★:2009/06/07(日) 04:52:46 ID:???
>>2の続き

■研究成果の成否を握るカギは知財戦略にある

今回の大型科学研究予算の構想はもともと、日本経団連が提案したものを自民党が
丸のみした形だ。競争の激しくなった産業界が基礎研究のテコ入れを国に求めたとも
いえる。ただ、従来型の研究体制や制度では効率が悪くなり、制度改革を含めた取り
組みが重要になっている。

IT(情報技術)革命によって、基礎研究が実用化に結び付くタイムラグが急速に短く
なっている。それに伴い特許戦略もグローバルに展開しなければ、権利の行使も自社
技術の保護も難しくなってきた。研究開発の成果を世の中で生かすためには、優れた
知財戦略を構築しなければならない。

自民党のヒアリングでは、知財に関するテーマは荒井氏の提言だけであり、研究評価
や成果についてはほとんど論議しなかった。超大型助成金の成果があまりないようでは、
かつての公共事業予算のばらまきと同列になってしまいかねない。そのカギを握るのは
知財戦略であり、特許法改正など制度の見直しとともに重要な時期を迎えている。

◎執筆者/馬場錬成氏
東京理科大学知財専門職大学院教授、科学ジャーナリスト

◎関連スレ(dat落ち含む)
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4名刺は切らしておりまして:2009/06/07(日) 05:04:35 ID:3SHPqbCo
研究に金を出すのは良いことだと思うけど
COEのように大した成果もなく終わるだろうと思う。

分配基準がハッキリしないわ、特定の人間に使い切れない額を配るわ。
5名刺は切らしておりまして:2009/06/07(日) 05:42:13 ID:dc1UldTG
やり方が逆
必要なところに予算をつければ良いのに
最初に予算をつけてそれを使い切るためにがんばるなんて
効率悪すぎ
6名刺は切らしておりまして:2009/06/07(日) 06:02:50 ID:pyigS4yh
だって普通は、研究成果が出てくることが進捗なのに
政府の進捗は取った予算が減っていくことだから
7名刺は切らしておりまして:2009/06/07(日) 06:05:55 ID:xRZ0BjCw
電池と環境とバイオとか伸びるのに使って
競争力にならないのはちょっとだけ残して捨てちまいな
8名刺は切らしておりまして:2009/06/07(日) 06:07:45 ID:rQu+/2QM
明らかに使い切れない額を配分することに何の意味があるんだろうな?
9名刺は切らしておりまして:2009/06/07(日) 06:14:07 ID:g62RExOO
今度は何の利権?
10名刺は切らしておりまして:2009/06/07(日) 06:16:01 ID:g62RExOO
つか、必要なところに配れよ
それで成果出なければ損でしかない
民主は嫌いだが、自民もバカじゃないかと最近思うよ…
11名刺は切らしておりまして:2009/06/07(日) 06:24:49 ID:HOo6bFNI
>>1
この駄文書きのおっさんのコラムを、一々、取り上げるなよ。
12名刺は切らしておりまして:2009/06/07(日) 07:16:20 ID:VVtSwNeS
基盤的経費である運営費交付金が削減されて、大学組織が疲弊してるのに…。
ベンチャーなんか、余裕がないとできないよ。

普段の生活費にも苦慮しているのに、こんな金渡しても、生活費の補填に使って終わりだよ。

COEの失敗を繰り返すだけだね。
13名刺は切らしておりまして:2009/06/07(日) 07:48:17 ID:q37nGrta
>補正予算成立とともに明らかになった先端研究の支援制度を見ると、注目度の高い
>医療、環境、素材といった研究分野で大学や企業などから約40チームを公募で選び、
>1チームに5年で最大150億円を助成する。いずれも5〜10年先の実用化を目指す
>という。

この速い世の中で10年先を読むのは無理、ましてや基礎研究で10年で実用化は
もっと無理。

研究開発型中小企業育成に金をかけた方がよくね?
14名刺は切らしておりまして:2009/06/07(日) 10:06:55 ID:PMpOUIr/
研究施設を内部で分所化してそれそれ法人化させる。
そこに理事副理事監査役を入れたらたちまち理事「2倍2倍」あははは。
金があって何に使おうかって?
変な予算だよね。
来年の経費をを計算して請求するから予算って言うんだよな。本来。
15名刺は切らしておりまして:2009/06/07(日) 10:08:05 ID:iQRUzv29
まずは天下り先の退職金を増やしてと
16名刺は切らしておりまして
大不況だというのに、バブルな話だなw 貧乏院生が何人救われるかな?w 
ちなみにカリフォルニアの大学は予算カットしまくりで夏の授業が中止になったりしてるw