トヨタ自動車のハイブリッド車(HV)、新型「プリウス」は、5月末時点で受注台数が早くも10万台を突破した。
冷え込んだ自動車市場のカンフル剤として期待される3代目の開発は、どんなコンセプトで、どこにターゲットをおいて
進められたのか。担当チーフエンジニアの大塚明彦さん(46)に話を聞いた。
──今回でプリウスも3代目。まず、新型のコンセプトは何ですか。
プリウスは、トヨタのHVのフラッグシップ(旗艦)です。HV市場の競争が激しくなっているなかで、
プリウスがプリウスであり続けるために、初代から続いている「環境、燃費性能に配慮したエコカー」という、
「プリウス・ブランド」の基本コンセプトは変えていません。
3代目では、そのコンセプトに最新の技術を投入することで、独特な「未来感」を全体から醸し出せたらと考えました。
──購入者のターゲットは?
これまでのプリウスの購入層は、50〜60歳代が多かったんです。子育てを終え、クラウンやマークXを下取りに出して、
夫婦だけでダウンサイジングした車をゆっくり楽しもうという世代。
プリウスなら自分たちも納得でき、他人から見られても恥ずかしくない、ということでしょう。
3代目は、30〜40代を新たにターゲットとしました。この層は環境意識が高く、クルマ本来の楽しさも重要視しつつ、
性能、機能だっておろそかにしない。お客様のすそ野を広げようと旧型よりも価格を抑え、5人家族でも選択肢に入れてもらえるよう、
車内の広さを確保しました。
決められた原価の中でも、あまりにチープにはしたくありませんでした。
その工夫の一つとして、インストルメント・パネルの表面に葉脈をイメージした模様をつけました。
──そのほかの自慢のポイントは。
太陽光発電システム(オプション)ですね。電動開閉式のルーフに取り付けたソーラーパネルで発電し、
その電力で室内の換気を行う仕組みで、トヨタとして初投入した機能です。
今までは日差しが強い日は、屋根付きの駐車場に止めておきたがっていた人も、屋外に停めたくなる。
今までの固定観念を変えるシステムです。
──この世界的な大不況は、車作りに影響しましたか?
去年の秋にはすべての基本仕様を固め、その後は品質向上に費やす時期だったので、
不況が一気に進んでいく中でも、部品一つでもさわったり、変えたりする余地はありませんでした。
──大塚さん自身は、HVの開発をいつから手がけているのですか。
エスティマの初代ハイブリッドが最初で、それからアルファード、エスティマのHV2代目、そして今回のプリウス3代目です。
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