製薬企業から医学部などの研究者への資金提供について、日本の主要な製薬企業で
提供先や金額の情報公開に前向きなのは1割程度に過ぎないことが、読売新聞の
調査でわかった。
研究の透明性確保のため、世界最大手の米ファイザー社などが内容公表を決めており、
国際製薬団体連合会(IFPMA)でも4日スペインで開く理事会でこの問題を取り
上げる予定。日本企業も対応を迫られそうだ。
医学研究への製薬会社による資金提供は、研究内容の公正さに影響を与える恐れが
あるとして、透明性の確保が国際的な課題になっている。
読売新聞は、医師・研究者への資金提供の情報公開の予定について、「日本製薬工業
協会(製薬協)」加盟69社にアンケートし、37社から回答を得た(回答率54%)。
「公表に向け検討中」は9社(加盟社の13%)だった。16社(同23%)は
「公表の予定がない」と答え、その他は明確な方針を示さなかった。
公表に前向きな理由は、「透明性を高めることは社会からの要請」(エーザイ)、
「親会社(米国メルク社)がすでに一部を公表している」(万有製薬)など。
一方、公表予定が「ない」企業は、「(医師側の意向を聞かずに)一方的に判断でき
ない」「業界として基準を明確にすべきだ」などと答えた。
米国では、イーライリリー社、メルク社が公表の方針を明らかにし、最大手のファイ
ザー社も2月、資金提供の実態を来年にも公表することを発表している。
国内では2007年、インフルエンザ治療薬の副作用を調べる国の研究班の大学教授
らが、製造販売元の製薬企業から寄付金を得ていたことがわかり、中立性への疑問
から交代に至った。
庄田隆・製薬協会長は「国際的動向も踏まえながら、必要とあれば、製薬協の中でも
議論する場をしっかり作りたい」としている。
◎日本製薬工業協会(製薬協)
http://www.jpma.or.jp/ ◎ソース
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090603-OYT1T00038.htm