◇「経営の問題」
全国で16万人以上いるとされる郵便事業会社(日本郵便)の非正規労働者の間で、今年4月以降、
一方的に時給を下げられるケースが相次いでいる。郵便配達などを主に担う非正規社員は契約更新前の
人事評価で時給が決定。組合側は、会社側が人件費を削減するため、この評価を厳しくしたとみている。
100円以上も時給が下がった労働者もおり、「あまりに一方的すぎる」と怒りを募らせる。
非正規労働者も加入する日本郵政グループ労働組合(JP労組)近畿地方本部には今年2月以降、
「4月から時給を一方的に下げられる」という苦情が集まり始めた。非正規の「期間雇用社員」は6カ月契約。
契約更新前に「スキル認定」と呼ばれる人事評価を受けて時給が決まるが、この際に時給が下がっているという。
同社は09年3月期決算で業績が低迷。関係者によると、今年2月には人件費削減を求める趣旨の
文書が本社から各支店に送られたという。組合側は「賃金引き下げを目的に、意図的にスキル認定の
評価基準を厳しくしている」と、会社側に撤回を要求。会社側は「スキル認定の基準は変わっていない」と
主張し、議論は平行線をたどっている。
神戸市内の支店で約4年間働く40代男性は4月から時給が110円下がり、手取り20万円ほどの月収が
十数万円にまで減った。「今までに評価が下がったことはなく、技術が落ちたわけでもない。これでは生活
できない」と不信感を募らせる。
別の支店で約5年間働く40代男性も110円下がった。「郵便配達に使うバイクの破損と郵便物の紛失」が
理由だが、バイクはミラーが折れただけ。紛失したとされる郵便物も支店内で数分後に発見されており実害
はない。この他にも、ささいな理由で時給を大幅に下げられた同僚が多いといい、男性は「業績が悪化した
ツケを弱い立場の我々にだけ押しつけているとしか思えない」と憤る。
毎日新聞の取材に同社は「当社の経営の基本に関する問題であり、外部に話すことは適当ではない」としている。
▽ソース:毎日.jp (2009/05/30)
http://mainichi.jp/kansai/news/20090530ddn041020030000c.html