マグロはえ縄船の国際減船問題で、宮城県は29日、水揚げ奨励金や減船漁業者に対する債務助成を
柱にした総額2億円の独自対策を決めた。打撃を受けるマグロ漁業者に助成しながら、関連業者を含む
水産業全体への経済対策として実施する。補正予算案を6月定例県議会に提出する。
県内外の遠洋と近海マグロはえ縄船を対象に、県内魚市場への水揚げ額の1%を漁業者に奨励金として
支給する。水揚げの多い気仙沼、塩釜両市には0.3%相当分の負担を求める。
県内の減船対象20業者、27隻のうち、廃業するのは1業者、1隻だけ。マグロはえ縄漁を続ける漁業者の
減収分を、奨励金で補てんする形になる。
県外船の誘致にも取り組む。宮城県関係者が多く乗り組むが、これまで県外漁港に水揚げしてきた漁船に
とっては、寄港のメリットが増える。
魚市場への陸上搬入の増加も図り、水揚げ減を補完して市場の機能低下を防ぐ。マグロ、カジキ、サメ類の
他県漁港から県内魚市場への陸上運送を増やすため、搬入量1トン当たり5600円を上限に運送費を補助する。
減船対象以外でも県外船誘致を促進。水産都市へのカンフル剤としてカツオ・マグロやサバ・イワシの巻き網、
サンマ棒受網など6種類の漁業を対象に水揚げ額の0.2%以内の奨励金を払う。一連の対策は2010年3月
までの限定。県は各魚市場を通じて支給する。
減船に伴う漁業者への直接支援として、1隻当たり250万円を上限に債務の一部助成を盛り込んだ。燃油や
餌、食料の取引で、水産関連業者への支払いの焦げ付きを防ぐ。財源は国の地域活性化・経済危機対策臨時
交付金を充てる。
国際減船をめぐっては、国が地元自治体に漁船処理費の3分の1の負担を要求。地方に負担義務はなく、
減船対象船のある宮城県など11道県は「全額を国が負担すべきだ」と要望している。
県は今回の独自対策について、漁船処理費の負担問題とは「全くの別物」(幹部)としているが、費用負担
論議に影響する可能性もある。
▽ソース:河北新報 (2009/05/30)
http://www.kahoku.co.jp/news/2009/05/20090530t11024.htm