売上高の大幅減少や損失など企業の経営にかかわる重要な情報を財務諸表に
「注記」としてつける規制が、景気悪化に対応して平成21年3月期決算から
緩和されたことに伴い、32社が記載を見送ったことが26日、分かった。
注記は「企業継続の可能性(ゴーイングコンサーン)」に関して投資家に
注意を喚起するために記載されるが、「倒産リスク」のイメージが強い。
基準を緩和したのは企業の救済措置だが、重要なリスク情報が開示されなくなれば
投資家の不利益を招きかねず、市場に混乱を及ぼす可能性も指摘されている。
帝国データバンクによると、上場企業約4000社中、注記をつけていた
231社のうち21年3月期決算で32社が外した。チケット販売のぴあ、
スポーツウエアのゴールドウイン、自動車用品のイエローハットなどがある。
ぴあは出版事業の不振などで21年3月期では2年連続の連結最終赤字。
だがリストラ効果で第4四半期(1〜3月)単独で最終黒字を達成、
22年3月期は通期でも黒字の見通しとなり注記を外した。
イエローハットも21年3月期は2年連続の連結最終赤字だが、
金融機関との借り入れ契約で条件変更が成立したことを理由に注記を外した。
ただ専門家は、ぴあの第4四半期の単独黒字は「緩和前の基準では『注記扱い』
だった可能性が高い」(証券系アナリスト)とみる。
金融庁は「日本基準は欧米より厳しかったが、緩和で将来性に重きを置く部分が
増え国際標準に近づいた」(企業開示課)と説明する。だが帝国データバンク
情報部の江口一樹部長は「改善策が一時しのぎにすぎず、将来にわたって注記が
外せるのか疑問のある企業もある」と注意を喚起する。情報開示基準に企業の
裁量余地が増えれば「真の姿」が投資家に見えにくくなる可能性もある。
■企業継続の可能性
債務超過や連続赤字など企業の存続に「重大な疑いあり」と監査法人が判断した場合、
財務諸表に記して投資家に注意をうながす制度。平成15年3月期決算から導入。
金融危機の影響で企業会計審議会が4月、21年3月期決算からの基準緩和を承認。
「将来の業績回復が確実」と監査法人が判断すれば注記を外せることになり経営上の
問題があれば「事業等リスク」の項目に記載することになった。
◎ソース
http://www.business-i.jp/news/flash-page/news/200905270001a.nwc ◎関連スレ
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