名古屋市内の貨物を伏木富山港からロシアに輸送する国土交通省の実証試験の結果がまとまり、
ウラジオストク港までの所要日数は、名古屋港から海路で運ぶ既存のコンテナ船ルートに比べ
最大六日間の短縮効果があった。
輸送中の品質低下もみられず、県は今後、中京圏の企業に伏木富山港活用のメリットをPRする材料にしていく。
実証試験は国土交通省北陸地方整備局が県の提案を受け、今年二〜三月に実施。
名古屋から輸出する自動車を富山まで陸送し、伏木富山港からウラジオストク港経由で
シベリア鉄道を使ってロシア第三の都市ノボシビルスクまで運んだ。
国内の陸路と海路の輸送方法の組み合わせは
@鉄道−定期コンテナ船A東海北陸自動車道−RORO船B国道41号−定期貨客船の三ルート設定した。
その結果、名古屋からウラジオストク港入港まで実際にかかった日数は最短で十二日。
このうち港などでの待機日数を除き、梱包(こんぽう)、通関、海上輸送など実質的に運搬だけにかかった時間を
積算すると最短で二・四日だった。国交省の報告書によると、名古屋港から津軽海峡を通ってウラジオストク港までは
平均八・四日で、単純比較はできないものの最大六日間程度の短縮効果があった。
名古屋からノボシビルスクまでの輸送日数は最短三十日、実質的な作業時間は同一三・七日だった。
ウラジオストク港の通関に想定より長い十日間程度かかったため、県は輸送期間の一層の短縮に向け、
ロシア側に手続きの迅速化を働き掛けていく。
一方、輸送コスト面でも課題が残る。本州を反時計回りに一周する現行の定期コンテナ船は、
どの港で船積みしても料金が同じで、名古屋港から積む場合に比べ、富山までの国内輸送分のコストが発生するからだ。
石井知事は二十五日の記者会見で、富山、新潟など日本海側のみ寄港する航路であれば輸送日数、コストとも
優位性が発揮できるとし、将来的な新規コンテナ航路開設に向け努力する考えを示した。
http://www.kitanippon.co.jp/contents/knpnews/20090526/22345.html