11月をめどに対等合併を目指していた青森県内の4信用金庫のうち東奥信金(弘前市)は20日、臨時総代会を本店で開き、
合併協議からの離脱を賛成多数で決議した。八戸信金(八戸市)が主導し、全国2例目となるはずだった「県内1信金」構想に対し、
地域密着型の金融サービス低下を不安視。各信金理事長による昨年11月の合併合意から約半年で、単独経営の道を選んだ。
臨時総代会は総代122人が参加し、非公開で行われた。東奥信金によると、参加者から合併に対する反対動議が出て、
24人分の委任状を含めた無記名投票を実施。結果は合併に反対が131票、賛成14票、白票1票で合併離脱が決まった。
合併の可否は6月の通常総代会で議決する予定だったが、総代147人のうち104人が3月末、連名で臨時総代会の開催を請求。
総代代表の佐川伸男総代交友会長は「合併で(実質的に)八戸(信金)の傘下に入れば主導権が奪われる。
地域性を重視したサービスができるのか不安だ」と開催趣旨を説明していた。
終了後、山口耕造理事長が役員5人と記者会見し、「非常に残念。関係各位に深くおわびする」と陳謝。
「津軽地方に唯一、本店がある信金存続への思いが想像以上に強かった」と離脱の理由を述べた。
合併協議は東北最大の八戸と経営が悪化していたあおもり(青森市)の両信金が昨年10月に合意。
東奥と下北(むつ市)の両信金が同年11月に合流した。誕生すれば預金残高、貸出残高とも東北トップとなる予定だった。
◎旗振り役八戸信金「3信金で推進」
東奥信金が20日の臨時総代会で、八戸など3信金との合併協議からの離脱を決めた。
全国2例目の「県内1信金」構想は消えたが、3信金はいずれも「準備を粛々と進める」(あおもり信金)と冷静に受け止めた。
3信金は6月にも、それぞれ総代会を開き、合併の了承を得る方針だ。
合併を主導する八戸信金の幹部は「非常に残念だが、流れを止めるわけにはいかない。3信金で合併を進める方針は変わらない」と話した。
あおもり信金は既に、合併を前提に八戸信金から資本注入などの支援を受けているだけに、幹部は「主体は八戸であり、
何もコメントできない」と言葉少な。
あおもり信金は、弘前市をはじめ津軽地方に21店舗を構えているため、合併後の新金庫と東奧信金は一転してライバル関係となるが、
幹部は「経営戦略にどんな影響が出るかは何とも言えない」と慎重だった。
下北信金は「県内4信金の合併に対して、前向きに協議を進めてきた。東奥信金から正式な説明がなく、今後、
否決に至った状況を把握した上で、対応を考えたい」とコメントを出した。
日銀青森支店の鶴海誠一支店長は「離脱は残念だが、県内一円がエリアの合併に変わりはなく、今後も努力に期待する。
東奧信金もより強固な経営基盤の確立に努めてほしい」と語った。
/*そーす::河北新聞*/
http://www.kahoku.co.jp/news/2009/04/20090421t22038.htm