JR東海と名古屋鉄道が乗客を奪い合う名古屋−豊橋の主要区間で、運賃の値下げ競争が再燃している。
JR東海が3月、在来線に片道分850円となる「カルテットきっぷ」(4枚組3400円)を“投入”すれば、名鉄も
翌4月に2枚1組の平日用割引切符を100円値下げ。1枚当たりの金額をJR東海に合わせた。同社は土休日
の東海道新幹線でもこの区間で値下げの動きをみせる。両社とも、不況で減った乗客を呼び戻そうと懸命だ。
名古屋−豊橋間の大人の通常運賃はJR東海が1280円、名鉄が1080円。しかし商用や買い物なら往復で
の利用が多いため、割引を使えば実質運賃は850円となる。
土休日では、JR東海が2005年1月、1500円の往復切符を発売。翌月に名鉄が1500円の「なごや特割2
土休日」を売り出して対抗しており、名鉄が後追いする図式は同じだ。
今回は、JR東海が「豊橋から名古屋に向かう買い物客を取り込みたい」と、年末年始の休日限定で、新幹線
の往復割引切符を300円引き下げたのがきっかけ。
「予想以上に好評」(広報室)で、ダイヤ改正に合わせ3月14日から、土休日の新幹線往復割引切符を240円
値下げ。一段の乗客増を目指し在来線にもカルテットきっぷを新設した。名鉄百貨店への買い物客などを
増やしたい名鉄は、「価格では負けられない」(幹部)と2枚1組の「なごや特割2平日」値下げで対抗した。
名古屋−豊橋間は、JR東海の在来線の特別快速が最短46分、新幹線は同20分で結ぶのに対し、日中の
快速特急で49分という名鉄はやや劣勢。ただ同社は割引切符が2枚組で、乗車機会が少ない個人でも
使いやすいのが「うちの利点」(幹部)と譲らない。
一方でJR東海のカルテットきっぷの最大の利点は、平日500円、土休日380円の「変更券」を買えば、
名古屋−豊橋間の新幹線自由席に乗れることだ。
両社とも、割引切符の販売枚数は明らかにしていない。値下げの効果についても「まだ分析できていない」と
口をそろえる。だが乗客からすれば競争による値下げは大歓迎。「次の一手」が注目される。
▽ソース:中日新聞 (2009/04/16)
http://www.chunichi.co.jp/article/economics/news/CK2009041602000137.html