近畿財務局長が南都銀行(奈良県)、滋賀銀行など近畿の地方銀行(第二地銀を
含む)6行の頭取・社長に新たな金融機能強化法に基づく公的資金の注入が将来
可能となるよう、6月の定時株主総会での定款変更の検討を直接要請していた
ことが10日、わかった。しかし、公的資金の注入を受けることに「国から経営上
の関与を受ける可能性があるし、風評も心配だ」(地銀首脳)として、地銀には
拒否反応があるのが実情。このため局長の“直談判”に対し定款変更を表明した
地銀はまだなく、再度の直接要請も検討している。
6行は南都銀、滋賀銀のほか、京都銀行、びわこ銀行(滋賀県)、大正銀行
(大阪府)、但馬銀行(兵庫県)。関係者によると、森川卓也局長が2月16日、
6行の頭取・社長を一堂に集め、自ら要請した。近畿財務局首脳は「個別に呼ぶと、
他行のことを気にするだろうから、一堂の方がいいと判断した」と話す。
近畿の地銀は12行あり、今回呼ばれた6行は独立系や、大手銀行と親密であって
も子会社ではない銀行など。大手銀行の子会社の地銀が呼ばれなかったのは、こう
した地銀が資本調達する場合、まず親会社の大手銀行に要請することが多いためだ。
呼ばれた6行の中には黒字で財務基盤が強固な地銀もあり、近畿財務局長の要請は
現時点での注入の必要性とは関係ない。
世界的な不況により、近畿の地銀も保有有価証券の減損処理や不良債権処理費用の
増加で平成21年3月期決算では赤字に転落する見通しが相次いでおり、資本増強
を迫られた地銀は多い。しかし、公的資金の注入を受ける動きはない。全国的に
みても公的資金の注入を受けた地銀は北洋銀行(北海道)、南日本銀行(鹿児島県)、
福邦銀行(福井県)の3行にとどまっている。
金融庁は現時点で公的資金注入の必要性がなくても、将来の注入を可能にするよう
に定款変更だけでもしておいてほしいというスタンスをとっている。この意向を
受けて、森川局長が“直談判”にあたった格好だが、定款変更受け入れに理解が
得られるかは微妙だ。
◎ソース
http://sankei.jp.msn.com/economy/finance/090411/fnc0904110201000-n1.htm