中部電力が中東やアジアでの発電事業や環境技術での支援を積極的に進めている。石油や天然ガス
など資源の調達先の多様化を図るとともに、国内での電力需要の伸び悩みを海外で補う狙いもある。
「安定した燃料調達に向けて信頼関係の構築は不可欠だ」。中電の三田敏雄社長は2月に中東の
カタールを訪問し、2007年から実施している電力関連の技術支援を2年間延長することを決めた。
カタールから研修生や視察団も受け入れる。
天然資源に依存する経済の変革は資源国にとって急務で、カタールは最新技術を導入することで
発電効率の向上や保守、点検の精度を高めたい考えだ。
このほかにカタールでは発電・海水淡水化事業に参画している。中電には、カタール産の液化天然ガス
(LNG)を安定的に調達する狙いがある。
中電は97年からカタール産のLNGを輸入し始め、07年度の調達実績は480万トン(全体の45・8%)と
需要の半分近くをカタールに頼っている。21年まで年400万トンを調達する長期契約も結んでいるが、
カタールとの関係強化は中電にとって不可欠だ。
一方で、LNGの主要供給国インドネシアは、今年に入って輸出量を減らすことを決めた。国内需要の
伸びに対応するためだが、昨年の原油価格の急騰やエネルギー危機を経て、電力会社も独自の
“資源外交”を進めることで資源の安定確保を迫られている面もある。
中電はタイやマレーシア、メキシコなどでも発電事業を展開しており、31日には、06年度からマレーシアで
参画しているバイオマス発電事業で、新たな施設の運転を始めた。
中電の海外事業への積極投資(総額148億円、今年2月末時点)は、アジアや新興国での電力需要の
伸びを見込んだ先行投資の意味もある。国内では新たな発電所建設が難しいため、海外で技術や人材
などの経営資源を有効活用することもできる。2010年度までは「有望な案件があれば積極的に検討する」
(中部電力)と新たな収益源を模索する構えだ。
▽ソース:読売新聞 (2009/04/01)
http://chubu.yomiuri.co.jp/news_k/ckei090401_1.htm ▽株価情報
http://company.nikkei.co.jp/index.aspx?scode=9502