国土交通省大阪航空局、沖縄総合事務局、県の3者でつくる那覇空港構想・施設計画検討協議会は
那覇空港の2本目の滑走路を1310メートル沖合とすることを決めた。
850メートル沖合と比較検討していたが、県、県経済界、県市議会議長会、県市長会、
県町村議会議長会、那覇・豊見城・糸満の関係3市長らがそろって1310メートル案を
支持した。そういう意味では県側の要望が取り入れられたとみることができる。
2009年度から施設の詳細な計画段階に入る。事業者の国交省は10年度予算で新規事業採択を
目指している。滑走路増設が実現すれば、アジアと日本を結ぶ物流拠点となる可能性がふくらみ、
国内はもちろんアジアからの観光客を呼び込むための整備が進むことになる。
滑走路は2700メートル。事業費は約1900億円、工期約7年。1310メートル沖合だと
2本の滑走路で同時に離着陸できる「オープンパラレル」が可能となることなどが有利に働いた。
スケジュール通り進めば、開業は19〜21年ごろになる見通しだ。
那覇空港は滑走路1本の空港としては国内で2番目に利用度が高く、15年ごろには空港能力が
限界に達するという。実際、08年に那覇空港を利用した国内と国際線を合わせた旅客数は
約1514万人に達し、初めて年間1500万人を突破した。
貨物取扱量は同年、国内と国際線を合わせ約22万2000トン。全日本空輸(ANA)が
国内とアジアを結ぶ物流拠点に位置づける国際貨物基地構想が今秋具体化する。
年間取扱量40万トンを目指しており、順調にいけば滑走路増設前の足場固めになりそうだ。
今回、構想段階から住民の意見を聴くパブリック・インボルブメント(PI)の手法がとられた。
三つのステップを踏み、公共事業を進めるにあたり住民参加型で透明性を高めるためだ。
その結果、約7割が1310メートル案を支持し選定の後押しをした。
ただ滑走路増設は約150ヘクタールの大規模な埋め立てを伴う。サンゴ礁や礁池生態系への
直接的影響が大きく、底質環境の変化も避けられない。今後、環境アセスメントが行われることに
なるが、国には自然環境への負荷を最小限にとどめ、生態系に最大限配慮するきめ細かな対応を
求めたい。
航空機騒音の心配もある。豊見城市は1310メートル案を支持しながらも、瀬長島の観光開発を
目指していることから、同島のマイナス要因にならないか心配している。
那覇空港は自衛隊も使用する「軍民共用」である。自衛隊機などの発着は年間約2万数千回とされ、
全体の約2割を占める。事故などで滑走路が閉鎖されたこともある。
航空自衛隊は最近、国境をにらんだ南西重視路線で、F4戦闘機をF15戦闘機に入れ替えた。
だが、沖縄を訪れる観光客が最初に目にするのが戦闘機ではイメージを損なう。
将来の観光客1000万人計画を実現していくのであれば、民間専用空港化も検討していいのでは
ないか。
ソースは
http://www.okinawatimes.co.jp/news/2009-03-29-M_1-005-1_001.html?PSID=16c900add2b83785cbb50502bdb1e01a 依頼を受けてたてました。