兵庫県尼崎市の国道43号沿線に住むぜんそく患者らが国などを相手に起こした
尼崎公害訴訟の和解に基づき、国土交通省と阪神高速道路が4月から
5号湾岸線の大型車の通行料金を3割引きにすることが6日、分かった。
43号とその上を走る3号神戸線の大型車を湾岸線に誘導して、
大気への環境負荷を低減するのが目的。神戸線との料金に格差を設ける
「環境ロードプライシング」(ロープラ)実施は和解条項の大きな柱の一つで和解成立から9年、
問題解決に向け、ようやく動き出した。国交省は6日午後、原告らに説明する。
国交省関係者らによると、割引区間は
天保山(大阪市港区)−六甲アイランド北(神戸市東灘区)で、
自動料金収受システム(ETC)を利用する大型車が対象。
通常、大阪−神戸間を移動する際の通行料金は神戸、湾岸両線とも2400円。
ロープラが導入されると、湾岸線は1680円になり、神戸線より720円安くなる。
また平日夜間(午後10時〜午前6時)、土日祝日(終日)に
利用するとさらに2割引きされ、半額近くになる。
訴訟は平成12年12月、国側が43号の交通規制やロープラを実施することで和解が成立。
しかし国側は、ロープラについては18年6〜8月に通行料金を半額する
社会実験を実施しただけで、実現には難色を示していた。
ところが国交省から交通規制についてシミュレーションの依頼を受けた警察庁が昨年7月、
43号でナンバープレートによる交通規制などを実施した場合、
43号からあふれる大型車の受け皿としてロープラによる湾岸線への誘導が必要−と
国交省に回答。また政府が地方圏の休日の高速道路料金を上限1000円とするなどの
景気対策に乗り出したことも、ロープラ導入にはずみをつけた。
今後、料金変更に必要な大阪、兵庫両府県議会と大阪、神戸、堺3市議会の承認を経て、
正式に採用されることになる。
国交省関係者は「43号沿線の大気状況を改善する必要性は強く感じており、
神戸線と43号の大型車通行量の削減を実現したい」と話している。
(2009年3月 6日 14:34)
http://www.sankei-kansai.com/2009/03/06/20090306-007165.php