全日空:格安航空の今期設立延期へ−景気悪化で最適時期を模索(3)
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90003017&sid=aBuJsfZT91Gg&refer=jp_japan 3月5日(ブルームバーグ):
全日本空輸が今期(2009年3月期)にも設立してアジア地域で展開する方針だった格安
航空会社計画は延期の可能性が強まった。景気後退で国際線旅客は大幅に減少している。
全日空企画部の宮川純一郎担当部長は4日、ブルームバーグ・ニュースの取材に対し、
急激な世界経済状況の変化により、投資活動の抑制やファンドの資金集めが
難しくなりつつあると指摘。そのうえで、状況がはっきりするまであらゆる可能性を模索しながら、
最適な時期が到来するまで待ち続ける方針だと語った。
10年には首都圏空港の発着枠が拡大する。アジア各国の格安航空が日本へ進出して競争激化が
予想されることから、全日空は別会社として格安航空を立ち上げて対抗する方針を表明していた。
格安航空は世界的な規制緩和の流れの中で誕生。乗客確保のため世界中で生き残りをかけた
競争が繰り広げられている。格安運賃のため、機内食などは有料の選択式となっているのが特徴。
アジア・オセアニア方面が急減
全日空の08年12月の国際線月別旅客輸送実績では、前年同月比 18%減の30万6040人、
利用率は62.2%だった。国際線の方面別で、アジア・オセアニア方面が同約20%減と大きく
落ち込んだ。欧州方面は同18%減、北米方面は13%減だった。同社が5日発表した、
1月分は前年同月比16%減の31万4398人、利用率は61.8%と引き続き低水準だった。
全日空は世界的な旅客・貨物の需要減少を受けて、1月末に今期連結業績予想を下方修正し、
純損益予想は前回予想の170億円の黒字から一転、90億円の赤字となると見込んでいる。
同社は来期(10年3月期)が経営環境の最悪期になるとの前提で、路線見直しや
コスト削減などの緊急対応プランを3月末までにまとめる予定。
野村証券金融経済研究所の村山誠シニアアナリストは3日付のリポートで、10年3月期が
「最も厳しい局面」と指摘する。そのうえで「09年3月期に続き、10年3月期も赤字決算を
予想しているが、11 年3月期以降は業績が回復する見込み」としている。
同氏は、全日空の投資判断を「中立」に据え置いている。
安全と機材投資は絶対維持
全日空の山元峯生社長は5日午後の定例会見で、環境配慮に優れ低燃費でこれまで確定が
30機だった「ボーイング78750機の導入スケジュールが確定した」と発表。同社は18年3月期までに
導入を完了する予定。また、12年3月期に低燃費のボーイング787、777、737機などを全体の
約50%にまで引き上げる計画の維持を表明した。
そのうえで、山元社長は苦しい事業環境下にあっても計画した「安全と機材への投資には
絶対に手を付けない」と強調し、従来の機材購入計画はそのまま維持する意向を示した。
全日空の株価終値は前日比2円(0.6%)高の366円。
松田 潔社 更新日時 : 2009/03/05 18:34 JST
(全日本空輸)
http://www.ana.co.jp/ ▽全日本空輸(株) 株価 [適時開示速報]
http://company.nikkei.co.jp/index.aspx?scode=9202 http://smartchart.nikkei.co.jp/smartchart.aspx?Scode=9202