顧客企業のサーバーを預かり、その保守・運用サービスなどを行うデータセンター事業者の省エネ
対応が加速している。IT機器の運用管理やサービスを代行するアウトソーシングサービスの需要が
拡大し、電力消費量が増加しているほか、企業の社会的責任(CSR)を意識する事業者や顧客企業が
増えているためだ。機器の配置や空気の流れを工夫する従来の取り組みにとどまらず、さまざまな
試行錯誤が行われている。
日立製作所は1月、データセンター事業者や同センターを自主運用する金融機関などを対象に、
省エネ・省スペースを可能にした「モジュール型センター」を開発した。
サーバーなどの機器や冷却設備を搭載した複数のラックを、ガラスなどの壁で仕切った設計で、
モジュールの基本単位は奥行き6.3メートル×幅3〜10メートル。空調シミュレーションによって
内部が均一に冷えるようにした。従来型センターに比べ機器の設置面積(床面積)を最大75%削減、
消費電力も同27%減らすことができるという。3年間で累計100億円の売り上げをめざす。
一方、日本IBMは、熱の発生源であるラック背面に熱交換器付きのドアを設置し、冷媒式クーラーと
組み合わせて効率的に熱を冷やす空調システムを三洋電機と共同開発した。2007年から販売を開始し、
価格は1800万円(ラック3台)。排熱量が約半分となることから空調エネルギーの低減が可能となり、
同システムを導入した自動車部品製造メーカーの小島プレス工業(愛知県豊田市)の場合、年間12.5トン
の二酸化炭素(CO2)の削減を可能にしたという。
また富士通は今年10月、群馬県館林市のデータセンターを拡張し、延べ床面積2万2000平方
メートルの大規模な新棟を稼働させる。熱の分布を最適化するシミュレーションによって空気口の
配置などを工夫するほか、1カ月の電力使用量を知らせるサービスを無料で提供する。屋上には
太陽光発電パネルを敷き詰め、「照明など付帯設備の電力をまかなう」(佐藤直人・サービスビジネス
本部アウトソーシングサービス推進部担当課長)計画だ。発電効率の向上に伴って今後、太陽光発電の
導入も一段と進む見通しだ。
▽ソース:FujiSankei Business i (2009/02/24)
http://www.business-i.jp/news/ind-page/news/200902240014a.nwc