近畿日本鉄道グループが、奈良県と京都府の一部で展開する生活応援事業「“楽・元気”生活」が
人気を呼んでいる。平成19年7月に試験導入して以来、家事代行やホームセキュリティー、カルチャー
教室など16サービスに増やし、グループ全体で年間1億5000万円の増収効果を生んだ。輸送人員が
減少の一途をたどる中、沿線住民をグループで囲い込む新戦略として注目されている。
同事業では、たとえば、スーパーの近商ストアが、購入商品を宅配するサービスを提供する。当初は
5600人程度だった会員数は、昨年末に約7500人に膨らんだ。
また、子供連れの人の外出をサポートするため、奈良近鉄タクシーがチャイルドシートを備えた
「子育てタクシー」などを展開している。
昨年12月には、ケーブルテレビ(CATV)事業を展開する近鉄ケーブルネットワークなどが綜合警備
保障と提携。光ファイバーを使った高速インターネットとCATV、ホームセキュリティーを組み合わせて、
月額1万円を切るサービスを始めた。
さらに、近畿配送サービスも割安なミニ引越を開始するなど、現在、15社(うち近鉄グループ12社)が
同事業に参入している。
近鉄グループは「“楽・元気”生活」の各サービスについて、一括で相談に応じる専用コールセンターを設置。
19年度は400件だった問い合わせ数は、20年度には上半期だけで642件に達するなど、人気も着実に
上がってきた。
現在のサービスエリアは、奈良市中西部と奈良県生駒市北部、京都府精華町、木津川市の一部。この
エリアの人口は約35万人に達し、近鉄グループの収益基盤となっている。
近鉄経営企画部の山本寛課長は「沿線住民サービスの一環だが、グループ全社を挙げた囲い込み戦略は
関西の私鉄では初めてだろう。サービスエリアの拡大も検討中」と意気盛んだ。
▽ソース:FujiSankei Business i (2009/02/21)
http://www.business-i.jp/news/flash-page/news/200902210128a.nwc