ソースは東洋経済オンライン
http://www.toyokeizai.net/business/industrial/detail/AC/1f8b15e41601a6dedc1483551e6a7ffa/ http://www.toyokeizai.net/business/industrial/detail/AC/1f8b15e41601a6dedc1483551e6a7ffa/page/2/ [1/3]
アナリスト 吉村真木子
旭硝子(A/ネガティブ/A−1)、日本電気硝子(格付けなし)、日本板硝子(格付けなし)などの
国内ガラス大手の収益が大幅に落ち込み、収益・キャッシュフローの減少が財務基盤にネガティブな
影響を与える懸念が高まっている。
スタンダード&プアーズは2月10日付けで、旭硝子の長期会社格付けのアウトルックを「安定的」から
「ネガティブ」に変更した。主要事業の収益が供給先の大幅減産の影響で大幅に減少しているため、
同社の財務基盤の悪化傾向が従来のスタンダード&プアーズの想定より長引く可能性があることを
反映したものである。
-ガラス各社四半期営業利益推移のグラフ-
http://www.toyokeizai.net/public/image/2009021800160042-1.jpg ■ディスプレー用ガラス基板事業の寡占化は依然メリットが大きい
2008年後半からの世界的な金融危機と実体経済の悪化による薄型ディスプレー(FPD)の大幅な
需要減退は、高収益だった各社のガラス基板事業を直撃している。旭硝子の2008年10−12月期の
電子・ディスプレー事業の営業利益は7−9月期の328億円から117億円へ、日本電気硝子の
連結営業利益も同様に306億円から111億円と急減した。
個人消費の急ブレーキに伴い、薄型テレビなど最終商品の需要が大幅に落ち込んでいるため、
ガラス基板各社は、設備投資の絞りこみや事業戦略の見直しを始めた顧客の動向を慎重に見極めて
いる。顧客の生産体制の再構築や顧客自体の淘汰が進めば、特定のガラス基板メーカーの事業基盤に
大きく悪影響を与える恐れがあるからだ。需要が回復した後も、かつてほどの高成長と高利益率は
確保できない可能性は強い。
しかし、スタンダード&プアーズは現時点では、ガラス基板事業のリスクが大幅に高まったり、
各社の市場地位・競争力が悪化しているわけではないと考えている。ガラス基板事業では、
ガラス基板市場が上位メーカーによって寡占されていることによるメリットは依然大きく、
ガラス基板事業のリスクをある程度緩和すると判断しているためである。
ガラス基板は米コーニング、旭硝子、日本電気硝子の上位3社で世界市場の9割強のシェアを占める
寡占状態にある。3社の設備投資に対する姿勢は保守的で、しかも比較的緩やかな競合状況、
新規参入の難しさ、FPD部材の内製化や代替材へのシフトの困難さなどから、一時的な生産調整は
あっても、供給過剰や稼働率の著しい低下が長期的に続く可能性は小さい。このことが各社の収益を
下支えすると考えている。
-続きます-