◆宅地売れ行きブレーキ 税収見通し見直しへ
世界的な自動車産業の落ち込みを受け、ホンダがさくら市下河戸に建設している新研究所の本格
稼働時期の延期を発表して1か月が経過した。ホンダ関連の需要も当て込んだ同市の宅地分譲地の
売れ行きは止まり、税収の見通しも見直しを迫られるなど、影響が出始めた。
さくら市が造成、2004年から販売している分譲宅地「リバーサイドきぬの里」(同市上阿久津)。
新研究所と芳賀町の本田技術研究所四輪開発センターにそれぞれ車で約30分という利便性がある
ことから、ホンダ関係者の需要を当て込んでいた。実際、ホンダ稼働延期の発表前までに売れた89区画
の購入者の約半数はホンダ関連企業の人たちで占められていた。
だが、発表後は1区画売れたのみで、問い合わせも激減し、市都市整備課は「新研究所の稼働が
追い風になっていたが、状況は一変した。宣伝を強化しているがこのままでは厳しい。稼働してもらわない
ことにはどうにもならない」と頭を抱える。
事業は全250区画で、2011年度末が完了目標。ただ、先に売れた分譲地の売り上げを、後から整備
する分譲地の事業費に回す計画で、残り160区画が売れなければ、資金不足となって税金による穴埋めを
迫られる可能性もある。
影響は市の税収にも及んでいる。市財政課では、研究所の稼働で固定資産税や法人市民税などに加え、
ホンダの関連企業も合わせて2011年度から10億円の税収増を見込んでいた。同課では「この当てが
はずれると、市債の償還計画などへの影響も考えられる」としている。
秋元喜平市長は研究所の本格稼働延期について「ホンダも創業以来の危機に直面し、大変苦労している
ようだ」と理解を示しながら、「地域経済の起爆剤として大いに期待しているので、早期の本格稼働を望んで
いる。市としても可能な限りの支援していきたい」と話す。しかし、今のところホンダは稼働時期を明確に
示してはおらず、世界的な自動車需要の回復が見込めないなか、同市にとっても先行き不透明な状況が
続きそうだ。
▽ソース:読売新聞 (2009/01/30)
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/tochigi/news/20090129-OYT8T01224.htm