米化学大手デュポン(NYSE:DD)が27日発表した2008年10-12月期決算は、リストラ費用5億ドルを
計上したことなどから、予想通り赤字に転落した。また、世界での化学製品の需要が鈍化しているため、
09年通期の利益見通しを下方修正した。ただ、原材料価格が下落しているものの、価格決定力は維持
できる見通しだとした。
同社は、10-12月期の厳しい市場環境が09年1-3月期も続くとみている。
10-12月期の純損益は、6億2900万ドルの赤字(前年同期は5億4500万ドルの黒字)、1株損益は70セント
の赤字(同60セントの黒字)。1 株当たり42セントのリストラ費用を除くと、1株損益は28セントの赤字となり、
同社が昨年12月に予想していた「1株当たり20-30セントの赤字」と一致する。
売上高は17%減の58億2000万ドル。同社は12月時点で、販売数量の減少に伴い「売上高は少なくとも
15%減」と予想しており、実績はこれと一致した。
化学メーカー各社は、建設、自動車、繊維製品などの業界の主要顧客企業による在庫圧縮で急速な需要
減少に見舞われており、対策を急いでいる。
デュポンは広範な経費節減に着手した。09年は、経費を7億3000万ドル圧縮し、利益を1億3000万ドル
押し上げようとしている。08年は、固定費の削減が4億2500万ドルに達し、目標の4億ドルを上回った。
エレン・クルマン最高経営責任者(CEO)は「当社は、厳しい経済状況と真正面から対決する姿勢で09年を
迎えた。生産性の改善に全力を注ぐ」と語った。
09年については、1株利益見通しを25セント引き下げ、2-2.50ドルとした。通期の運転資金も削減して
10億ドルとする見通し。
デュポンは同業他社に比べ事業の多角化が進んでいる。防護服向けの繊維「ケブラー」、住宅用防水シート
「タイベック」、カウンターの天板向け人工大理石「コーリアン」など各種製品の素材やさまざまな化学製品に
加え、種子や肥料なども生産している。
規模の大きな農業関連部門の売上高は、2%減の12億ドル。価格を引き上げ中南米で種子のシェアが
拡大したものの、作物保護製品などの販売数量減少が相殺した。
売上高はこのほか、高機能材料部門での30%減を筆頭に、すべての部門で減少した。
世界の自動車業界や米住宅市場の長引く低迷で、デュポンの塗料の需要は押し下げられている。同社では、
今年の売り上げ増が見込まれているのは農業関連事業だけだ。
同社は、トウモロコシ種子の価格競争に参戦するとの見方を退け、ジェフ・キーファー最高財務責任者(CFO)
は「当社は09年も、価格決定において規律ある姿勢をとり続ける」と語った。
同社株の27日終値は、前日比0.09ドル(0.39%)高の23.27ドル。その後の時間外取引でも一段高となり、
終値比0.56%高の23.40ドルで取引された。
▽ソース:NIKKEI NET (2009/01/28)
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/media/djCPM2917.html