「派遣切り」や「雇い止め」に遭った人たちの再就職先が、なかなか決まらない。
年齢や資格が壁となっているだけでなく、慣れ親しんだ職種への「こだわり」や、新しい
職種への「とまどい」もあるようだ。3月までに職を失うと見込まれる派遣社員や期間従業員らは
約8万5000人。求職と求人のミスマッチ克服が課題となっている。
「募集中の仕事はいっぱいあるんですが、今までやったことのない業種ばかりで……」。
昨年11月末、滋賀県の自動車工場の派遣契約を打ち切られ、東京・日比谷の「年越し派遣村」から
都内の施設に移った男性は、仕事が決まらずにいる理由をそう語る。
12月に上京。ネットカフェに寝泊まりしながらハローワークに週3〜4回通ったが、運転免許を
持たない身には、求人情報の多くが無縁に感じた。求人情報誌に載っていた「年齢、経験不問」の
職場に電話したこともあるが、まず聞かれたのは年齢だった。「43歳」と告げたとたんに断られた。
最近になって、ようやく長期間働けそうな警備会社を見つけた。「もう甘いことは言って
られない」と、覚悟を決めるつもりだ。
昨年8月末に大手自動車工場で「派遣切り」に遭い、派遣村で過ごしてきた男性(30)も、
新たな仕事が見つかっていない。
9年間、愛知県や静岡県の自動車工場で働いてきたから、自動車関連の仕事ばかり約30社に
応募してきたが、雇ってくれるところはなかった。昨年末、ホテルの住み込み清掃員に採用が
決まりかけたが、「給料が安く、将来につながらない」と断った。「自分は人見知り。営業や
居酒屋の店員などは難しい」と今も自動車関連の仕事を探し続けている。
厚生労働省によると、派遣村から移った都内4施設で実施しているハローワークの就職相談
では、建設、警備、旅館など、住み込みで働ける仕事を中心に約4000件に上る仕事が
紹介されており、9日までに125人が求職の登録をした。しかし、生活保護の手続きや
住居探しに時間を取られているという事情もあり、再就職が決まったのは数人だけという。
厚労省東京労働局によると、求職者1人あたりの求人数を表す有効求人倍率(パート除く)は
職種ごとに大きなばらつきがある。都内の昨年11月の数値を見ると、「一般事務職」は0・27倍、
「製造・土木」も0・55倍と極めて低い。これに対し、資格や経験が重視されるIT技術関連、
介護関連などは3倍以上となっている。
資格を持たない人には、再就職は難しいように見えるが、特段の資格が必要ない
「接客・給仕職」で5・93倍、「警備職」も5・74倍の求人があるのだ。現実には年齢や経験などの
制約も受けるだろうが、同労働局の担当者は「給与や勤務時間帯など、人によってそれぞれ
譲れない一線があるようです。その一線を越える仕事を無理に紹介できませんから」と話す。
>>2に続く
▽News Source YOMIURI ONLINE(2009年1月12日03時09分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090112-OYT1T00003.htm ▽関連
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