【インタビュー】ビジネスモデルが崩壊 身を削ぐような合理化が始まる (J-CASTニュース連載「新聞崩壊」)[09/01/08]

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4やるっきゃ騎士φ ★
-続きです-
[4/4]
朝日は、今回の赤字計上で、読売、日経との(かつては「ANY」とも呼ばれた)業務連携に弾みが
つくのではないでしょうか。具体的には、「原料の共同購入・印刷工程、販売流通の共有化」が
進むでしょう。「身を削ぐような合理化」で、3社合わせれば、1000億円台の経費削減ができる
はずです。

朝日は、出版本部を別会社にしたのはえらいですよね。私は、毎日のメディア局を別会社にしようと
考えていたのですが、中々上手くいかなかった。別会社になると、競争に放り込まれるので、必死に
なりますよね。動きが速くなるし、思い切った決断もできます。

新聞という仕事は「印刷工場を持っていて、販売店を持っていないとダメだ」ということでは
ありません。新聞社の本分は「的確にニュースを取材し、意味づけをして送る」ということに
尽きるのであって、別に「(活版印刷を発明したとされる)グーテンベルグと心中しないといけない」
とは思いません。

問題は、上が持っている危機感を、社全体で共有していないこと。若い人は、構造不況業種と
思っているから「危機慣れ」している。なかなか「自分の問題として」経営問題を考えようと
しませんね。

<メモ:止まらない広告・販売収入の落ち込み>
日本ABC協会の調査によると、07年4月の段階では811万部あった朝日新聞の部数は08年4月には
6万部減少して805万部。毎日新聞は400万部が10万部も落ち込み、390万部になり、ついに
「400万部割れ」となった。読売・日経・産経の3社は、ほぼ横ばいだ。
一方、07年の新聞広告費(電通調べ)は9462億円で、06年に比べて5.2%落ち込んでいる。
マス4媒体(新聞、雑誌、テレビ、ラジオ)の広告費は3兆5699億円で、前年比2.6%減にとどまって
おり、新聞広告の落ち込みの大きさがうかがえる。
このような経営環境の悪化を受けて、朝日・毎日・産経の3社が、08年9月中間期(08年4月〜9月)の
決算で、連結・単体ベースともに営業赤字を計上している。

河内孝さんプロフィール
かわち・たかし ジャーナリスト。1944年東京都生まれ。慶應義塾大学法学部卒業。毎日新聞政治部、
ワシントン支局、外信部長、社長室長、常務取締役などを経て2006年に退社。
現在、(株)Office Kawachi代表、国際福祉事業団、全国老人福祉施設協議会理事。著述活動の傍ら
慶應義塾大学メディアコミュニケーション研究所、東京福祉大学で講師を務める。

-以上です-
依頼を受けてたてました。