石破茂農水相は十六日、世界貿易機関(WTO)新多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)の閣僚会合
再開に向け、一部農産品の関税を削減するとともに、価格引き下げに誘導し、輸入品との競争力を
保つ政策を検討すると表明した。価格下落に伴う農家の減収を税金でどこまで補償するかなど、
活発な論議を呼びそうだ。
石破農水相は同日の記者会見で、今月の予定だった閣僚会合が来年以降に先送りされたことに
ついて「わが国の主張をもう一度点検する必要がある」と述べた。その上で、「どこまで関税を下げても
競争力を維持できるのか。納税者負担で(補償を)支払う対象農家をどういう範囲にするか。次の閣僚
会合までに議論の具体化が必要」との考えを示した。
日本は農産品千三百三十二品目のうち、関税率200%超の品目が百一あり、輸出国から関税削減を
迫られている。
日本は関税削減幅を小さくできる「重要品目」の8%確保を主張するが、主要国は原則4%、最大6%で
ほぼ合意。仮に6%だと七十九品目しか重要品目にできない。
同相の発言は、一部を重要品目にできない場合の対策を想定したものとみられる。ただ、関税削減の
品目などには言及しなかった。
道内産品ではコメ、小麦、乳製品などが高関税品目。輸入は事実上、一定の低関税輸入枠に限られるが、
その際も国が農家支援などを目的に輸入業者から数十億−数百億円の調整金などを徴収、業者負担は
価格転嫁されている。関税削減と税金での農家補償は、消費者負担を「目に見える」形にする意味もある。
▽ソース:北海道新聞 (2008/12/17 09:38)
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/agriculture/135668.html