鉄鋼世界最大手のアルセロール・ミタル(NYSE:MT)は15日、ドイツの鉄鋼メーカー、ディリンガーの
支配権獲得をめぐり18カ月続いた闘いにピリオドを打ち、方針を転換した。保有するディリンガー株を
減らし、約10億ドルを手に入れる計画だ。
ディリンガーはザールラント州を拠点に厚鋼板の生産を手がけており、製品の大半をエネルギー業界の
顧客向けに販売している。従業員は5230人。
アルセロールはこれ以上、ディリンガーの支配株式の取得を目指すことはない。代わりに、ディリンガー株
を売却し、その運営に対する影響力を示す経済的持分・議決権持分を減らす方針という。
ドイツのBHFバンクの鉄鋼アナリスト、ヘルマン・ライト氏は、「(アルセロールが)この時期に売却を決めた
のには少し驚いた」とコメント。「足元の景気低迷とそれに続く鉄鋼メーカーの評価額の下落を考慮すると、
アルセロールはあまりにも安い値段でディリンガー株を売却することになるかもしれない」と指摘した。
しかし、アルセロールが支配権を取得できなかったのは、ディリンガーの株主構成が複雑なことが原因だった
ため、売却は理にかなっていると、ライト氏は評価している。
アルセロールは、ディリンガー株を既存株主2社に売却し、議決権持分を51.25%から33.4%に引き下げると
発表した。売却先はザールラント州政府の持ち株会社の子会社SHSと、Dillinger Hutte Saarstahl AG。売却
完了後、SHSはディリンガーの筆頭株主となり、アルセロールの持ち株比率は30.08%となる見通しという。
株式売却により、アルセロールは7億7700万ユーロ(10億4000万ドル)(08年の予定配当を含む)を得る
見込み。この取引でのディリンガーの企業価値は26億ドルとされている。
アルセロールの広報担当者は、「取引は近く完了する予定」と話し、売却資金の使途についてはコメントを
避けた。
フランクフルトのHVBの鉄鋼アナリスト、クリスチャン・オプスト氏は、アルセロールが売却資金を純負債の
低減に充てる公算が大きいと予想する。
アルセロールはこれまでに、09年末までに純負債を100億ドル低減するとともに、向こう5年間で経費を
50億ドル削減する方針を明らかにしている。
▽ソース:NIKKEI NET (200812/16 16:16)
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/media/djCNZ2202.html ▽関連スレ
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