金沢工大と北國新聞社の「日本海イノベーション会議金沢工業大学プログラム」は六日 、金沢市の
北國新聞会館で開かれ、炭素繊維をテーマに三氏が講師を務めた。同大副学長 ・教授で
ものづくり研究所長の金原勲氏は、自動車業界を例に「従来の金属から炭素繊維 への置き換えも
いいが、炭素繊維の特徴を生かした大胆な発想で挑戦すべきだ」と強調し た。
「複合材料の生い立ちと炭素繊維」と題して講演した同大客員教授・文部科学省産学官 連携
コーディネーターの松井醇一氏は、日干しれんがや漆器など、異質な素材を組み合わ せる
複合材料の考え方が古来から人類に定着していたと説明。一九六〇年代、日本の研究 者が
鉄に比べて強度に優れ、軽い炭素繊維の開発に成功したのをきっかけに、欧米で航空 機部品への
研究が始まったと説明した。
炭素繊維の生産量はまだ少なく、十月時点で一キログラム当たり約五千円と高値だが、 松井氏は
「原料高や製造過程の環境対策などの課題を解決できる斬新な製造方法が確立で きれば、
値ごろになる」との見方を示した。
続いて金原氏は、全世界で使われる炭素繊維のうち、約七割が日本企業で生産されてい るが、
ほとんどが輸出向けとなっている現状を説明。日本には世界レベルで高い技術を持 った企業が
多いとした上で、「航空機だけではなく、高速運転が鍵となる産業機械など幅 広い分野で需要が
見込めるはずだ」と、日本企業の用途開発に期待を示した。
東レ技術センター(コンポジット開発センター)担当生産本部(コンポジット生産)担 当
オートモーティブセンター所長の須賀康雄氏は、釣りざおやテニスラケットなどスポー ツ用品から
始まった東レの炭素繊維事業を紹介した。
現在、米ボーイング社の次世代機787に採用されるなど、航空機分野で注目が集まる 中、
須賀氏は「黒い糸(炭素繊維)で飛行機を飛ばそうという思いは当初から根強く、
ボ ーイング社へ地道に売り込み続けてきた」と採用までの経緯を振り返った。
東レなど国内三社で、これまで困難とされてきた炭素繊維のリサイクルについて研究を 進めて
いることも紹介した。
ソースは
http://www.hokkoku.co.jp/_keizai/K20081207301.htm 依頼を受けてたてました。