朝日新聞社とテレビ朝日が一時、有力な通信会社と資本面も含めた提携交渉を水面下で進めていたことが
明らかになった。結局不調に終わったようだが、広告収入の大幅な減少が屋台骨を襲う朝日・テレ朝は、
成長著しい通信・IT業へのシフトを模索している。
きっかけは今年6月に朝日新聞とテレビ朝日が発表した新しい提携の枠組み合意だった。
朝日新聞社の株式が村山家と上野家という二つの創業家に握られてきたのは周知のことだが、
両社の提携の大きな狙いは朝日の株主対策にある。
朝日の36・46%の株式を保有してきた筆頭株主の村山美知子社主(87)は高齢なうえ、
子供がいない。8・57%を持っていた妹の富美子(82)は、持ち分のうちの5%を息子の恭平(47)
(美知子から見て甥に当たる)に分与し、恭平は村山家の相続人気取りで「週刊文春」などのインタビューに応じ、
周囲にはモルガン・スタンレーやリーマン・ブラザーズ、UBSなど外資系証券会社が出没していた。
とりわけUBSを経て現在モルガン・スタンレーの渡部恒弘副会長は、恭平氏や、もうひとつの社主家である上野家と親密で、
朝日経営陣への対応策を指南していた、とみられている。
これに危機感を抱いた朝日経営陣は、積年の遺恨を乗り越えて筆頭株主の美知子社主への「直当たり」に局面打開をかける。
結果として美知子社主保有分のうち、テレ朝が11・88%を取得し、さらに村山家ゆかりの財団法人香雪美術館に
9・97%を寄付することとなった。テレ朝の35・92%の株を持つ「親会社」の朝日新聞社と、
「子会社」のテレ朝が互いに株式を持ち合う構造となったのである。
つまり美知子社主の持ち分を「問題児」の恭平氏にはまるまる相続させないということである。
この株式異動を発表直前に知った恭平氏は親しい米国系証券会社の投資銀行部門の幹部に電話をし、
「まったく知らなかった。いったいどうなっているのか詳しいことを知らせてくれ」と息巻いたそうである。それだけ極秘だったといえよう。
朝日新聞とテレ朝の提携計画のもうひとつの大きな狙いは、朝日・テレ朝連合に有力な通信・IT系企業を加えるという点だった。
両社は6月6日の記者会見で「第三者との大胆なアライアンスも視野に入れる」と言及し、
テレ朝の君和田正夫社長は「メディアの環境がたいへん厳しく、媒体力が低下している。新聞、テレビにもう一本の柱、
情報通信分野を加えられたらいいなと思っている」と明言した。
朝日新聞社はこの提携発表後、テレ朝株の保有比率を35・92%から25%未満にまで下げる計画のため、
朝日が保有するテレ朝株の受け皿に情報通信系の企業を考えたようだ。
「(情報通信産業は)かなり大きなカギを握るところです。やはりメディアとして勝ち残っていくには新聞とテレビ、
さらに通信が必要です。朝日新聞が持つテレ朝株の受け皿になるかどうかストレートに結びつかないかもしれないが、
数ある候補の1つにはあるのかなと思う」(君和田社長)
ソース(
>>2以下に続きます)
http://www.data-max.co.jp/2008/11/post_3506.html