フィックスターズは2008年11月11日,PLAYSTATION3(PS3)対応LinuxのYellow Dog Linuxの開発元である
米Terra Soft Solutionsを10月31日付けで買収したと発表した。買収額は非公開。
フィックスターズはPS3のプロセッサであるCell Broadband Engine(Cell/B.E.)向けの
ソフトウエア開発を手がける企業。
Cell/B.E.は9つのCPUコアを1チップに搭載しており数値演算能力が高いことが特徴で,
現在世界のスーパーコンピュータランキング(top500.org)で現在首位のIBM LoadRunnerにも搭載されている。
画像処理ソフトウエアのほか,金融機関のデリバティブ計算システムへの採用も進んでいる。
米Terra Soft Solutionsは1999年に創業したPowerPC向けLinuxを得意とする企業。米コロラド州に拠点がある。
同社のYellow Dog LinuxはMacintoshやIBM System pなどに対応しており,2006年にPS3に対応した。
米国に設立した子会社米Fixstars SolutionsがTerra Soft Solutionsの全事業および全従業員を引き継ぐ。
創業者のKai Staats氏はFixstars SolutionsCOOに就任する。
「これまでCell/B.E.向けのライブラリ,アプリケーションは持っていたが,OSは持っていなかった。
米Terra Soft Solutuonsの買収により一貫して提供できる体制を整える」(フィックスターズ 代表取締役社長 三木聡氏)。
日本ではアミュレットがYellow Dog Linuxの代理店となっていたが,
アミュレットは10月31日付けでYellow Dog Linuxの取り扱いを終了。既存ユーザーに対するサポートもフィックスターズが引き継ぐ。
フィックスターズとTerra Soft Solutionsは以前から仕事上の関係があり
「2008年8月,CEOのKaiから『会社をゆずりたいと思っている』というメールが送られて来た」(三木氏)ことから
買収交渉が始まった。
「Terra Soft Solutionsはもともとはそれなりに業績出ていたが,AppleがIntelプロセッサに移行したことで
ここ3年厳しくなった。来年以降は(Cell/B.E.)に対する投資の収穫期に入ると考えている」(三木氏)。
買収による初年度の売り上げへの貢献は8000万円を見込んでいる。
フィックスターズはCell/B.E.の技術者を日米で増やしていきたいとしており,
同日Cell Broadband Engineプログラミングコンテスト「Hack the Cell 2009」を開催すると発表した。
課題プログラムをCellに移植し実行速度を競う。優勝者には60万円の奨学金とサンフランシスコ旅行が与えられる。
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20081111/319056/