電気掃除機市場で、高性能な5万円以上の高価格帯製品の人気が高まっている。市場調査会社の
GfKマーケティングサービスジャパンによると、08年度上期(4〜9月期)の掃除機販売額は前年同期比
5.8%減だが、高価格帯製品は同43.2%増と急伸している。メーカー各社は新たな付加価値で買い
替え需要を掘り起こしたい考えだ。これまで主流だった吸引力の強さや排気の浄化から、低運転音に
開発競争がシフトしつつある。
各社は、共働きや生活スタイルの多様化で深夜に掃除をすす“夜カジ族”らのニーズに対応。静かな
オフィス(50デシベル)から図書館内(40デシベル)を目指し1デシベル単位の静音対策にしのぎを
削っている。GfKは「掃除機市場で運転音が50デシベル未満の高性能な製品は、今夏頃から1つの
カテゴリーとして確立してきた」と指摘する。
先行したのはシャープ。4年前、業界が吸引力のパワー競争で過熱するなか、本当に消費者が求める
ものは何かを論議し、生活スタイルを調査した。「その結果、深夜の掃除が多いことがわかり、開発テーマ
の1つに低運転音が上がった」と小幡尚令(おばた・ひさのり)・商品企画部副参事。
06年3月に発売したサイクロン(遠心分離型)掃除機「EC−BX5」は通常のオフィスの音に近い53
デシベルを実現。同年12月には「同VX1」で51デシベルまで低下。そして今月1日発売した「キレイオン
EC−VX200」(店頭価格は8万円前後)は業界最小運転音の48デシベルを実現。
同機種は、モーターを樹脂カバーで覆った従来の遮音・制振機能に加え、運転音を抑えるために空気を
活用したのが特徴。高速旋回してゴミと空気を分離するダストカップからの音を静かにするために、排気風を
ダストカップ周囲に流して空気の層を生成。その層でダストカップを包み、高速旋回音の漏れや振動音の
抑制に成功した。07年度のサイクロン掃除機全体の販売額は2ケタ増と好調だった。
東芝ホームアプライアンスと日立アプライアンスも追随。東芝の昨年の機種は57デシベルだったが、
3月に投入したサイクロン掃除機「クワイエVC−1000X」(当時9万円前後)で49デシベルを実現。日立は
10月発売の紙パック式とサイクロンの掃除機「プレミアムクリーン」4機種(店頭価格は7万円前後から)を
49デシベルにした。各社は、今後の製品開発は「運転音の数値競争」(小林博明・東芝商品企画担当主任)
が最大のテーマとみており、同分野の技術開発はさらに進化しそうだ。」
日本電機工業会によると、08年度上期の掃除機の国内出荷額は前年同期比2.8%減の512億円、
出荷台数は同4.2%減の253万台にとどまった。それだけに、全市場の6%と比率は低いものの、
高価格帯製品の伸びに期待がかかる。
▽ソース:FujiSankei Business i (2008/11/11)
http://www.business-i.jp/news/ind-page/news/200811110016a.nwc