【地域経済】「早くから優勝信じて大量製造」--プロ野球・阪神Vグッズ廃棄の悲鳴 [11/08]

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1ライトスタッフ◎φ ★
大詰めを迎えたプロ野球日本シリーズが恨めしい。
阪神タイガースのリーグ優勝記念グッズを準備していたメーカーや販売店の思いだ。
一時は2位に13ゲーム差をつけて首位を独走していた阪神だが、「世紀のV逸」で
約300種類のグッズはすべて廃棄処分の運命。前半戦の好調ぶりが被害を拡大させており、
捕らぬトラの皮算用をはじいていた人たちは悲鳴を上げている。

大阪市中央区谷町2丁目の洋品店「テーラー虎」は、阪神の優勝限定ロゴを裏地に使った
背広やネクタイを準備してきたが、すべて無駄になった。中村英二店長(47)は
「優勝を信じ切っていたのでショックは大きかった」。

優勝を逃すと限定ロゴを使った商品は販売できない決まりになっている。「とにかく現金を
作らねば」との危機感から10月末、「崖(がけ)っぷち販売会」と銘打った通常商品の
特別セールを始めた。スーツは2割引き、1万円のジーンズは3800円だ。

阪神球団は優勝記念商品の限定ロゴマークを定め、今季の使用商品の申請は約300種類
(百貨店販売分を除く)。昨年は約130種類で、2倍以上だった。

球団営業部の担当者は「7月に13ゲーム差がつき、各社とも早い段階から大量製造に
乗り出したようだ」とみる。記念グッズを販売できる期間は優勝確定時からキャンプ入り
までで、優勝が早く決まるほど多くの売り上げが期待できるからだ。ところが最終盤で
優勝を逃し、「各社とも口では『仕方ない』といってくれるが、心中を察すると気の毒で、
申し訳ない」。

球団は商品の補償や買い取りはしない。闇ルートに出回るのを防ぐため、優勝を逃した際は
処分するのが決まりで、焼却中の画像や廃棄処分証明書の提出まで求めている。ロゴは今季
限定で、来季以降の使い回しもできない。

神戸市中央区の「人形の内田三宮店」。本業は節句人形の販売だが、03年からペナント
レース期間中はタイガースグッズも扱う。約200種類の阪神優勝記念グッズを陳列する
はずだった棚には、ひな人形が並んでいた。戎三郎店長は「7月までは順位同様、売り上げも
ぶっちぎりだったのですが……」とため息。

タイガースグッズ製造卸販売「サン・ウィング」(兵庫県尼崎市)の担当者は「優勝すれば
売り上げは平年の5〜10倍。昨年の2倍近い種類を用意したのに、まるまる損を抱えて
しまった」と嘆く。山陽電鉄(神戸市)は優勝記念バージョンの乗車カードを1万枚、
バスカードを2千枚用意したが、焼却処分にした。

宮本勝浩・関西大大学院教授(理論経済学)は、阪神が今季日本一になれば近畿圏の経済
波及効果は約767億円と試算していた。「記念グッズの損失は30億円に上るだろう。
関西経済にはとんだ冷や水だ」と話す。

方、ちょっと得したのが尼崎信用金庫。阪神のリーグ戦順位によって特典が変わる定期預金
「虎の雄叫(おたけび)2」を2〜4月に発売し、21万4千口座開設で2651億円を集めた。
リーグ優勝すれば5万円分の商品券を抽選で1万人に贈る予定だったが、2位だったため
3万円に減額。持ち出しは5億円から3億円に減った。それでも広報担当者は「一ファンとして
は優勝してほしかったのが本音です」。

◎ソース http://www.asahi.com/kansai/sports/news/OSK200811080024.html