東京電力は4日、昨年7月の新潟県中越沖地震で被災し全7基が運転停止している柏崎刈羽
原子力発電所(新潟県)の耐震補強工事の総額が、1050億円となる見通しを明らかにした。
今年6月から先行的に耐震補強工事に着手した7号機の補強工事で、1基当たりの補強費用が、
150億円にのぼることが判明したため。ただ、耐震補強の工事費用は経費でなく設備投資額に
計上するため、収支への影響は限定的にとどまる見込みだ。
柏崎刈羽原発の出力は821万キロワットで東電の総発電量の2割を担う。同社は同原発の
停止で不足した電力を補うために、代替として重油や天然ガスを燃料とする火力発電の稼働を
拡大。しかし、昨年夏場から原油価格が高騰に転じたことで燃料費負担が急上昇し、2009年
3月期連結業績は、最終損益が2200億円の赤字となり2期連続の赤字となる見通しだ。
清水正孝社長は柏崎刈羽原発の再開の見通しについて、「運転計画を示せる状態にはない」
と繰り返し説明している。ただ、早期の運転再開に向け、耐震補強工事を7号機を手始めに
順次進める計画としている。
一方、東電は、足元の燃料費負担の増加などを受け、09年3月期に予定していた社債の発行を
当初計画の6000億円から7000億円に増額することも決めた。
増額分は設備投資資金などに充当する予定だ。
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【予報図】
■再稼働 業績、CO2削減に寄与
地震の影響で1年以上運転を停止している柏崎刈羽原発だが、再稼働に向けた耐震補強工事が
急ピッチで進んでいる。今月3日には同原発7号機の配管などの耐震強化工事を終了し、
再稼働に向けた機運が高まる。
今後、東電が地元の理解にこぎつけ、補強工事の完了した7号機から順次、運転を再開すれば
業績に与えるインパクトは大きい。同原発の停止で、代替燃料として火力発電の稼働を増やした
ことによって、09年3月期で6580億円の減益要因となっているからだ。
今年度か来年度にも、7号機と、天井クレーンや配管工事の進む6号機から再開となれば、
合計出力280万キロワット分の代替火力発電の稼働を下げることができる。重油と天然ガス、
石炭を燃料に使った火力発電の発電コストは1キロワット時当たり12円程度。これに対し、
原発は同5円と半分以下といわれており、東電の黒字回復の道筋がようやく描けるようになる。
原発の再稼働は二酸化炭素(CO2)の削減にも寄与する。東電は国内CO2のうち1割を
排出。原発は、発電時にCO2を排出しないため、柏崎刈羽の再開が進めば、東電としての
排出抑制だけではなく、国全体の排出量削減にもつながる。
柏崎刈羽原発の再稼働の時期が、京都議定書で国として約束した12年に1990年比で6%の
CO2を削減するという目標達成にも大きな影響を与えることになる。
ソースは
http://www.business-i.jp/news/ind-page/news/200811050008a.nwc 東京電力のデータのグラフは
http://www.business-i.jp/news/ind-page/news/200811050008a2.jpg 依頼を受けてたてました。